研究課題/領域番号 |
12J04503
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
藤本 麻里子 京都大学, アジア・アフリカ地域研究研究科, 特別研究員(PD)
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キーワード | タンザニア / 野生動物資源 / 持続的利用 / 漁業資源 / 流通 / タンガニイカ湖 / ザンジバル |
研究概要 |
本研究は、タンザニアの自然保護区周辺における、自然資源の保全及び地域住民の伝統文化および生活基盤の維持を両立するための方策を検討することを目的としている。 調査地であるマハレ山塊国立公園をはじめ、タンザニアの国立公園や自然保護区周辺に居住する人々の生活は、野生動物をはじめ様々な自然資源に大きく依拠している。初年度の平成24年度は主に野生動物と人の遭遇やコンフリクトとその対処法にっいて研究を行ったが、2年目の平成25年度は人々の漁業資源の利用と保全に調査対象を広げた。 マハレ山塊国立公園にもその一部が含まれているタンガニイカ湖において、最も重要な漁業資源の一つに、イワシ科の小魚が挙げられる。スワヒリ語でダガーと呼ばれるこの小魚は漁獲後、乾燥されて国内外に広く流通している。タンガニイカ湖畔に住む多くの人がダガーの漁業、加工、仲買業など漁業関連産業に依拠した生活を送っている。しかし、近年漁獲量は減少傾向にあり、資源の保全が急務である。平成25年度は、キゴマ州キゴマ県の漁業管理官や行政担当者への聞き取り調査と漁獲量の経年変化に関する資料収集を行った。ダガー漁を営む漁師および、漁船の持ち主である網元にも、生計活動の状況について聞き取り調査を行った。 また、同じくスワヒリ語でダガーと呼ばれる小魚が漁獲され、地域経済が大きくその加工・流通業に依拠しているタンザニア島嶼部、ザンジバル島で新たに調査を開始した。ザンジバル畜産・漁業開発省を訪問し、漁獲量データを収集した。2つの調査地から得られた新たなデータおよび知見を国際漁業学会および地域漁業学会で口頭発表した。それら学会において新たに知り合った、アフリカ各地で漁業の調査を行う研究者と研究会を発足させ、活発な議論を行うことができた。また日本や東南アジア島、様々な地域で漁業の調査を行っている研究者とも有意義な情報交換を行うことができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は8-9月および2-3月に計82日間の現地フィールドワークを実施できた。本研究で欠かすことのできない現地でのデータ収集を順調に行うことができ、また複数の学会で報告することができた。特に、自然資源の利用状況は現地の人々への聞き取り調査および、各種行政機関での統計資料の収集を併せて行うことが必要であるがそれらが2つの調査地で順調に行えた。
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今後の研究の推進方策 |
2年間の調査で収集したデータを詳細に分析し、タンザニアの自然保護区周辺に居住する人々が自然資源にどのように依拠し、また様々な制度とどのように折り合いをつけて生活しているかを明らかにしたい。漁業資源の保全は地球温暖化をはじめグローバルな気候変動ともかかわりの深い問題である。調査対象地域とアフリカ各地の取り組みとの比較、あるいは日本をはじめ様々な国や地域の事例との比較を通して、地域固有の人と自然資源とのかかわり方を解明することを目指す。
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