研究課題
防災意識向上のために必要な災害情報効果に焦点を当て、人々の警報や情報に対するリスク認識の調査を行った。気象庁では、東北地方太平洋沖地震において災害情報の過小評価が住民の避難の遅れにつながったとして、津波警報の内容を2013年3月7日に改正し、住民に危機意識を持たせるために、地震の規模が不確定な場合は「直ちに近くの安全な高台に避難」することを強調し、想定される津波の高さが3m超~10m以上だった場合には「巨大」、1m超~3mだった場合には「高い」などの定性的な表現を採用する等の対策が取られてきた。以上のことから、気象庁が新しく改訂した津波警報において、「巨大」「高い」などで津波の高さを表した定性的表現に対する主観的な数値による想定を、東北地方太平洋沖地震の被災地である東北地方の大学に在学する学生と被災地ではない九州地方の大学に在学する学生を対象に調査した。その結果、九州の学生の方が、「高い」「巨大」等の定性的表現に対して数値で想定する津波の高さを、気象庁が表現使用の基準としている数値より高く見積もる傾向にあることがわかった。次に、宮城県の被災地域在住の一般住民を対象として同様の調査を実施し、大学生(東北と九州)を対象とした調査結果と比較した。その結果、津波やそれに関連する災害の身近な経験者である宮城県の一般住民が最も、気象庁の形容詞適用基準数値に近く想定することが結果より導き出された。これは津波の規模について、経験と知識に基づく想定がより慎重になされているためではないかと考えられる。今後はより認知心理学的なアプローチからの災害情報認識効果や、大学生や地域住民、小中学生などを対象とした防災教育の設計・実施に貢献することを目指している。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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平成26年度自然災害科学中部地区研究集会予稿集
巻: - ページ: 26-27
Proceedings of ED-MEDIA World Conference on Educational Multimedia, Hypermedia & Telecommunications 2014
巻: - ページ: 2349-2354
Journal of Disaster Research
巻: 9(4) ページ: 571-578