研究課題/領域番号 |
12J04687
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
原 宏輔 京都大学, 野生動物研究センター, 特別研究員(DC1)
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キーワード | 熱帯高山氷河 / 雪氷学 / 雪氷微生物 |
研究概要 |
当研究員は、当該年度、前年度である2012年度中に行ったフィールドワークによって熱帯アフリカ・ウガンダのルウェンゾリ氷河から採取したサンプルをもとに、持ち帰ったサンプルを用いて、雪氷微生物群集の解析を行った。これまでアフリカの氷河では雪氷微生物の研究は今までほとんど行われてこなかったが、当研究員は他の研究者と共に、有機物量の測定、顕微鏡を用いての微生物のセルカウント測定、また現地から採取し培養した酵母の温度帯による増殖率の変化などを測定した。それにより、ルウェンゾリ山の雪氷微生物の培養最適温度は、いわゆる「好冷酵母」よりも、高い値にあることがわかり、地球温暖化に対して敏感に反応することが予想される事がわかった。 私は、この研究の成果を、2013年度の地球惑星科学連合大会にてポスター発表を行った。 また、2014年の3月に、アフリカと同じく熱帯に位置する氷河である、南米アンデス・コロンビアのサンタイサベル氷河にてフィールドワークを行い、サンプルを採取した。 新たなフィールドの開拓を行ったことで、熱帯氷河間の比較が行えるようになると期待され、次年度は両方のサンプルの解析に従事する予定である。 また、現代において熱帯に氷河が存在しているのはアフリカ、南米、東南アジア(インドネシア)の3カ所だけであり、今後はインドネシアも調査値に加える事で、より熱帯氷河間の比較が行えると思われる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
熱帯氷河の研究対象地としてアフリカ・南米両方でフィールドワークを行い、比較研究ができる状況にあるため、おおむね順調に進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、熱帯氷河間での雪氷微生物生態系の違いを分析するため、アフリカ(ウガンダ・ルウェンゾリ氷河)、南米(コロンビア・サンタイサペル氷河)の2カ所で継続的にフィールドワークを行い、乾季・雨季の環境の違い等も含めて雪氷微生物生態系と周辺環境の関係性について考察する。また、世界で大きく分けると3カ所しかない熱帯氷河の残り1カ所である東南アジア・インドネシアの氷河でも可能であればフィールドワークを行い、より広い視野から熱帯氷河の雪氷微生物生態系を観察する。
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