研究課題/領域番号 |
12J04722
|
研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
半沢 蛍子 (佐藤 蛍子) 早稲田大学, 教育学研究科, 特別研究員DC1
|
キーワード | 内容言語統語型学習 / 第2言語音声習得 / 音声得メカニズム2 / Voice Onset Time (VOT) / /r/ / 母音 |
研究概要 |
本研究は、数学・理科等の科目内容を外国語で教え・学ぶ「Content-based instruction (CBI)」、「Content and language integrated learning (CLIL)」といった内容と第2言語を同時に学ぶ学習プログラムが、特に大学レベルの日本人英語学習者の第2言語音声習得に取ってどの程度効果的であるかを検証し、日本人英語学習者の第2言語(英語)音声習得のメカニズムを探ることを目的としている。 今年度はこの目的を達成するために同プログラムを採用している大学学部の学生と、伝統的な英語教育を行っている大学学部の学生とを対象に、3つの音声的特徴(/r/、母音、無声破裂子音の特徴であるVoice Onset Time)の習得を検証する縦断的実験を行った。 実験の結果、無声破裂子音の特徴であるVoice Onset Timeは、内容言語統語型学習プログラムを採用している学部で授業を受けた学生は、半年間でより英語母語話者に近く破裂音を発音できるようになり、また1年間で数名の学生は英語ネイティブ話者と同じように破裂音を生成できるようになった。つまりこの結果はSILSで英語を使用して授業を受けたことによって、学生は明示的な発音の教授が無くとも英語の特徴を正確に捉え、また自身で生成できるようになったことを示すのではないかと考えられる。 しかし、内容言語統語型学習プログラムはすべての音声特徴の習得に効果的ではないことも示された。/r/のもっとも重要な特徴であるF3は1年間を通して統計的な変化はほとんどなく、それ以外の特徴である長さだけが変化した。 (母音の習得については現在分析中である)
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
実験マテリアルの作成に時間がかかったため実験開始が遅れたこと、また1年間分のデータ分析の量が膨大でありかなりな時間を要していることにより、論文執筆が遅れている。そのため、当初3年間で研究を終了し、論文にまとめる予定であったが、最終的な論文執筆完成予定が4年目にかかる予想をしている。しかし、本年度の研究で得られたデータは非常に貴重であり、また学習者の音声習得を包括的に考察できるものであるので、進捗度合いは遅れているが、最終的な研究の目的は必ず達成されると考えている。
|
今後の研究の推進方策 |
今後は今年度得られたデータの分析を行い、学習者の音声習得に対し包括的に検証を行う。またその結果を論文として国際学術誌へ投稿を行い、得られた結果を広く発表する。
|