研究課題
本年度は、最終年度であったため、PD研究で予定していた調査研究のひとまずの総括と成果の公表に努めた。現地調査では、ハギア・ソフィアとアヤ・イリニ聖堂、カーリエ修道院でのモザイク調査および環境調査を実施した。調査では、これまでの塩の分析結果ならびにレンガとモルタルの分析結果を踏まえて、ハギア・ソフィアおよびアヤ・イリニにおける塩析出の年次変化と季節変化を確認した。また、環境調査の最終考察をまとめるために、夏と秋、冬の3時期に、ハギア・ソフィアにおいて、海洋環境の影響を評価するためにガーゼ法による海からの飛来塩分量の測定も実施した。前年度に試験的に計測した結果から、高さや方位による飛来塩分量の分布を確認しており、本年度は季節変化を考察した。成果としてはまず、これまで先行研究で議論されることのなかった地上階およびギャラリー階の制作年代未詳モザイクについて、色彩計測結果とテッセラガラスの組成分析結果に基づき年代推定を試み、6世紀に近い時期のモザイクである可能性を示すことができた。さらに、環境調査の成果をもとに、ハギア・ソフィア大聖堂の内壁の劣化評価と、外壁補修工事による内壁面での影響の評価、そして新たな問題として南北ティンパヌムにおける鉛を含む顔料の使用を指摘し、博物館と保存方策について協議している。10月には、3年に1度開催されるICCM(International Committee for the Conservation of Mosaics)の会議に参加し、各国の専門家との意見交換と、3年間の成果を公表した。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2015 2014
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件、 オープンアクセス 3件、 謝辞記載あり 5件) 学会発表 (13件) (うち招待講演 3件)
『保存科学』
巻: 第54号 ページ: 215-226
巻: 第54号 ページ: 227-239
Getty Conservation Institute Proceedings, 12th Conference of the International Committee for the Conservation of Mosaics (ICCM), Italy - Sardinia, October 27-31
巻: - ページ: -
巻: 第53号 ページ: 177-194
Proceedings of PROHITECH 2014, 2nd International Conference on Protection of Historical Constructions, Turkey – Antalya, May 2014
巻: - ページ: 605-609