研究課題/領域番号 |
12J04754
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
服部 祐季 京都大学, ウイルス研究所, 特別研究員(DC1)
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キーワード | CD1A / 結核菌 / TDM / GroMM / Mincle |
研究概要 |
(1)ヒトCD1Aトランスジェニックマウスを用いた解析 ヒトCD1Aゲノム遺伝子を導入したトランスジェニックマウスを活用し、CD1Aによって提示される抗原として知られるスルファチドやマイコバクチンに対する特異的T細胞応答の存在の検証を試みたが、現時点ではその存在を証明することができていない。ヒトCD1A分子が抗原を提示するには共刺激分子の存在が必要である、との仮説を立て、その分子の存在を明らかにすることを目指し、研究を展開した。具体的には、サルCD1拘束性T細胞を免疫原として使用し、これに特異的に当たるマウスおよびラットモノクローナル抗体を作製した。CD1拘束性T細胞に特異的に当たる抗体を多数得たので、それらが認識する分子の探索を進めている。現在までに得られているモノクローナル抗体が認識する抗原の同定を、今後進めていく予定である。 (2)結核菌脂質に対する免疫応答の解析 結核菌細胞壁において、最も多量に存在するミコール酸糖脂質はトレハロースジミコール酸(TDM)であるが、近年、そのレセプターがC型レクチンの一種であるMincle (Macrophage inducible C-typelectin)によって認識され、Fc受容体ɤ鎖との共役によりITAMを介して炎症性サイトカインの産生を誘導することが報告されている。一方、結核休眠菌において特異的に増加している脂質を見出し、この分子がグ玖セロールモノミコール酸(GroMM)であることを同定した。GroMMの生物活性はこれまで不明であっだが、ヒトMincleを介して自然免疫を活性化することを実証した。興味深いことに、マウスMincleはこれを認識できない。1)NFAT-GFPレポーター細胞、2)ヒトMincleトランスジェニックマウス、3)ヒト末梢血単核球由来マクロファージを使い、ヒトMincleがGroMMの主要な自然免疫受容体であることを明快に示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
(1)ヒトCD1Aトランスジェニックマウスを用いた解析 作製したCD1Aトランスジェニックニックマウスにおいて、現時点ではCD1a拘束性T細胞の応答を実証できておらず、実験計画の見直しが必要である。 (2)結核菌脂質に対する免疫応答の解析 ヒトMincleが休眠結核菌特有のGroMMの主要な自然免疫受容体であることを実証し、論文に発表した。
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今後の研究の推進方策 |
1)ヒトCD1Aトランスジェニックマウスを用いた解析 ヒトCD1A分子による抗原提示には共刺激分子の存在が必要である可能性が考えられる。サルCD1拘束性T細胞に特異的に当たるマウスおよびラットモノクローナル抗体を多数得ているので、この抗体が認識するCD1拘束性T細胞に特異的に発現する分子を探索し、その分子同定を進める。 (2)結核菌脂質に対する免疫応答の解析 結核肉芽腫におけるMincleの機能はまだ不明な点が多い。作製したヒトMincleトランスジェニックマウスを使って、ヒトMincleの慢性肉芽腫形成の関与と、その病態解明に向けて研究を展開する。
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