研究概要 |
ストリゴラクトンは腋芽伸長を抑制する植物ホルモンとして働く。ストリゴラクトンのシグナル伝達機構は未解明であるが,DWARF14(D14)は受容体候補と考えられている。興味深いことに、D14タンパク質はイネ師管液中に検出された。D14が師管を輸送されている可能性が考えられるが、植物ホルモンの信号伝達に関わるタンパク質が細胞間を輸送される例は知られていない。そこで、D14タンパク質の師管輸送について解析を行った。 D14mRNAは維管束と腋芽の葉原基で発現がみられた。それに対して、D14プロモーターでD14:GFP融合タンパク質を発現させた系統では、維管束と葉原基だけでなく、mRNAの発現がみられない腋芽メリステムでもGFP蛍光が観察された。次に、D14:3xGFP融合タンパク質を同じくP14プロモーターで発現させる系統を作出した。D14:3xGFP融合タンパク質は分子量が大きく、細胞間を移行できない。この系統では腋芽メリステムにGFP蛍光がみられなかったことから、腋芽メリステムで観察されたD14:GFP融合タンパク質は、細胞間を移行してきたものであることが確認された。 これらの結果から、D14タンパク質は腋芽へ輸送されることが明らかとなった。 さらに、D14輸送が腋芽伸長抑制に必要か検証した。dl4変異体にPl4プロモーターでD14:GFP融合タンパク質を発現させると、腋芽伸長が抑制された。また、アクチンプロモーターを用いてD14:3xGFP融合タンパク質を個体全体で発現させると腋芽伸長が抑制されたことから、D14:3xGFP融合タンパク質も機能的であることがわかる。しかし、Pl4プロモーターでD14:3xGFP融合タンパク質を発現させても腋芽伸長が抑制されなかった。このことから、D14が腋芽に輸送されることが腋芽伸長抑制に必要であることが明らかとなった。
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