研究課題/領域番号 |
12J04791
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
後藤 千佳 京都大学, 生命科学研究科, 特別研究員(DC1)
|
キーワード | 行政組織 / 専門知識 / 政策過程 |
研究概要 |
本研究は、行政組織内での専門性に注目し、技術系行政官の機能を把握し、「行政組織内での専門性の確保」と「不透明な行政責任の明確化」を目的とする。また、政策帰結と専門性との関係についての理論・仮説を提供し、技官研究・公務員制度研究へ新しい知見を与えることを目指している。 研究期間の初年度にあたる本年度は、先行研究のレビュー、資料収集、ヒアリング調査、分析視角の構築を行った。 行政学、社会学分野を中心とした専門性についての先行研究を網羅した上で、分析対象の行政組織についての先行研究の収集とレビューを行い、各事例に関する特徴を明らかにした。また、方法論、分析手法についての知見の収集を行い、来年度以降の本格的な定量的、定性的な分析に備えた。 職員録、人事録、名鑑、内政関係者名簿等の人事資料を収集し、対象組織についての人事の流れのデータをまとめており、医系技官と土木技官に対してヒアリング調査を行った。内容は主に、出身学部・研究室や入省後の人事異動による組織の移り変わりによるコミュニティの形成過程と、職務中の経験や参加学会・セミナー等による現状の専門性確保の実態について詳細に聞き取りをした。医系技官については、「臨床医・研究者」と「事務官」の間で専門知識を管理しており、翻訳能力を有し橋渡しの役割を担っている自覚が強く、土木技官については、専門知識をもつ側面に立たされる場面を強く感じていることが分かった。分析対象の4分野の行政官の背景となる専門学問に属する研究者に対してヒアリング調査を行った。これらの調査活動等により、今後の研究のネットワークを広げ、つくることができ、さらに、分析枠組みを構築することができた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
学会誌への投稿を行い、また、来年度の投稿にむけて本年度中に数報の論文を執筆中であり、学会での発表準備も進めている。政策立案者への調査は、医学と工学分野に限られてしまったが、分析対象の省庁の行政官の背景となる専門学問に属する研究者に対してヒアリング調査を行うことができたことは、アンケート調査の質問を固めるために役に立ち、当初の調査計画についてはおおむね達成されている。
|
今後の研究の推進方策 |
今年度の先行研究・資料収集とヒアリング調査により、分析対象の4分野にそれぞれに関わる行政官の特徴を明らかにする方向性を定めることができた。今後は、各省庁に対して更に情報収集を行い、行政官へのより詳細なヒアリング調査、アンケート調査の実施により、来年度以降の活動の中核である仮説の検証を行う予定である。
|