(1)地域間における捕食圧の変化と、単メス果・複メス巣の比率の関係 北海道内各地のシオカワコハナバチ集団に対するトビイロシワアリの捕食圧と、シオカワロハナバチ集団内の単メス巣と複メス巣の比率の関係について調査した。 北海道内23箇所のコハナバチ営巣集団について、系統による複メス巣比率べの影響を考慮して、系統的に最も近い集団間で、捕食圧が増加したときに複メス巣の比率が上昇するか検証した。各調査地の間の系統関係はマイクロサテライトDNAの対立遺伝子頻度を元に推定した。 (2)シオカワコハナバチの複メス巣における協同行動の調査 シオカワコハナバチは地中性のため、その行動生態については観察例が少ない。今回は、シオカワコハナバチの複メス巣が単なる「同居」なのか、集団形成によつて生じるシナジー効果を含む「協同」なのかを調べるため、シオカワコハナバチの野外集団について、採餌活動による出巣について、行動観察を行った。 営巣集団内の単メス巣と複メス巣にビデオカメラを設置して巣入口を撮影し、それぞれの巣における個体の出巣周期がどのよう、になっているか分析を行った。 調査は複メス巣が出現する、夏の育児活動期に実施した。午前5時から午後5時までの12時間、巣の入口を目視及びビデオカメラによる録画を用いて観察し、出巣した個体とその出巣時刻および帰巣した個体とその帰巣時刻を記録し、巣が空になる(捕食者に対し無防備となる)時間を計算した。さらに巣内成虫がランダムなタイミングで出巣・帰巣を行っていた場合、巣が空になっていた時間を計算した。この推定値と実際の値を比較することで、複メス巣において協同が存在するか検証した。 (1)(2)の研究結果は、平成25年度に開かれる日本動物行動学会や日本生態学会で発表する他、論文として投稿する予定である。
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