本研究では、交付申請書記載の通り、光を用いた量子通信・量子計算の基盤となる「量子テレポーテーション」という量子情報通信の飛躍的な高性能化を目指す。このため、相反する2つの技術を融合したハイブリッド型の量子テレポーテーション装置を開発し、高効率・高精度での量子情報の転送を実現させる。咋年度に引き続き、今年度も研究計画を上回るペースで研究が進み、以下の成果を得た。 1. 昨年度の段階で、ハイブリッド型量子テレポーテーション実験の成功データは取得できていた。本年度、この実験結果に関する論文がNature誌に掲載された。この成果は、新聞各紙や一般向け科学雑誌などで報道され、大きな注目を浴びた。また、理論モデルを考案してこの実験を理論的にも明らかにすることにも成功し、その成果はPhysical Review A誌に掲載された。これら2つの論文によって、ハイブリッド型の新しい方式により、従来の量子テレポーテーション装置の課題が克服され、その性能の飛躍的な向上が実現することが、実験・理論の両面から示された。 2. 上記の実験を応用し、ハイブリッド型量子テレポーテーション装置により、光子の量子もつれ状態の片方を遠隔地へ伝送する実験を行った。この実験により、ハイブリッド型量子テレポーテーション装置が量子的領城で動作し、各種量子情報処理プロトコルにおいて効率的に利用可能であることが裏付けられた。この成果は、本年度の国際学会(Frontiers in Optics)で口頭発表した。また、現在この実験に関する論文を投稿準備中である。
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