本研究では、日本の教育政策が賃金や学力といった教育成果に与えた効果を分析した。 平成25年度は研究計画に従い、1 : 高等学校における学習指導要領が賃金に与える効果の推計、2 : 普通科高等学校のカリキュラム編成状況調査、3 : 義務教育段階における学習指導要領の変化が学力に与える効果の分析、を行った。 1の研究では、前年度から引き続き、高等学校における学習指導要領改訂方法の特徴(10年ごとに学年進行に伴う改訂)を利用した計量経済分析を行った。就業構造基本調査を使用した分析から新たに明らかになった点として、詰め込み教育からゆとり教育へと改訂された1982年版学習指導要領が賃金に与える効果は、大学・大学院卒者まで含めた分析ではプラスであることなどが挙げられる。2の調査では、前年度までの調査を踏まえて、首都圏にある一つの都道府県に対象を絞ったうえで普通科高等学校の具体的なカリキュラム編成状況を過去5年にわたって調べた。調査の結果から普通科という点から同じであっても、高校によって卒業までに必要となる単位数などのカリキュラムが異なることが分かった。3の研究では、2011年に移行措置を経て改訂された小学校の学習指導要領が学力に与えた影響について分析した。子どもの学力と家計についての情報がわかるデータを用いた推計によって得られた結果から、学習指導要領の変化が子どもの学力に与える影響は学年によって異なることなどが明らかになった。
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