研究概要 |
平成24年度は、金属含有PETから金属と有機原料を効果的に回収するため、(1)PETおよび金属複合PETの熱分解および加水分解の速度論的検討、(2)金属複合PETに含まれる金属が加水分解に及ぼす触媒作用の検討および、(3)金属複合PETからベンゼンと金属の回収実験、を実施した。 (1)においては、PETを水蒸気雰囲気下で加水分解する際に、熱分解および加水分解の2つの反応が同時に進行することが予想されていたため、^<18>O同位体標識水を用いた解析手法を提案・実施した。本手法は水蒸気雰囲気下における加水分解と熱分解の反応割合を算出する新しいアプローチであり、Chemistry Lettersに発表されている(S.Kumagai et al, Chem Lett.,42,212-214.)。 (2)、(3)については、熱重量質量分析装置(TG)および固定床反応装置を用いた回収試験により検討を行った。金属含有PETとして、PETボトル、X線フィルム、磁気テープおよびプリペイドカードを採用した。原料回収試験により、X線フィルムからは94%以上の金属銀、磁気テープからは96%以上のγ-F_e2O_3、ブリペイドカードからは96%以上のγ-Fe_2O_3、87%以上のアナターゼ型TiO_2およびほぼ全量のAl_2O_3が炭素残渣と供に残留・回収できることが明らかとなった。また、金属含有PETのPET分からベンゼンを回収するために酸化カルシウム(CaO)の添加効果も同時に検討した。その結果、いずれの試料へもCaOが触媒として効果的に働き、CaO未添加時のベンゼン収率が全ての試料に対し平均0.9%であったのに対し、CaOを添加することにより平均33.8%まで向上した。また、得られた液体生成物のベンゼン純度も平均15%から77%まで向上した。
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