研究課題/領域番号 |
12J05107
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研究機関 | 国立遺伝学研究所 |
研究代表者 |
吉田 真明 国立遺伝学研究所, 生命情報研究センター, 特別研究員(PD)
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キーワード | 進化発生生物学 / 初期発生 / 眼原基 / 形態形成 |
研究概要 |
ヒメイカにおいて正中に眼が1個しかできないCyclops(単眼)胚が希に現れることから、その初期発生において単一の眼原基が左右に分割して2つの眼が形成されることが示唆されている。本年度は単一の眼原基が左右に分割される時期、および眼原基の決定に関わる遺伝子を同定することを目的に、薬剤による阻害実験および遺伝子発現解析を行った。1.頭足類胚における眼原基形成時期を同定するため、阻害剤を用いた単眼胚誘導実験を行い、以下の2点が明らかになった。(1)眼原基の分割は受精後24時間以内に起こる。(2)hedgehogシグナリングの阻害を行っても単眼胚は生じないが、Wntシグナリングの阻害によって単眼胚が誘導される。2.ヒメイカから眼原基形成に関与していることが知られている転写因子6種、シグナル分子7種についてcDNA配列の探索とクローニングを行った。3.イカ初期発生過程の胚盤期における遺伝子発現解析を行うために、in situ hybridization法の条件検討を行い、これまで報告のなかった胚盤期中期における遺伝子発現パターンの解析に成功した。ヒメイカ胚盤期中期において、脊椎動物の眼原基形成に関与している転写因子群のうちPax6、Otx1/2、Six3/6が眼原基で発現していることを確認した。これらの結果は頭足類胚を用いた薬剤による発生異常の誘導として、また頭足類の胚盤期に置ける遺伝子発現解析として世界でも初の成功例である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成24年度においては、研究計画において最も労力のかかる遺伝子の同定とクローニングがほぼ完了した。また本研究において最も新規性が高く、挑戦的であった初期胚におけるin situ hybridization法の確立に成功した。これらの点において初年度の研究計画はほぼ計画通り達成され ており、順調に進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は平成24年度において確立した手法を用いて、眼原基の決定時期と場所についてまとめ、論文として発表することを第一に進める。
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