研究課題
Photosensitization reaction(PR)による不整脈治療に運用可能な経カテーテル的光学モニターとして、血液焦げ付き防止モニターと心筋組織のネクローシス深度を推定する治療深度モニターに関して研究を行った。血液焦げ付き防止モニターに関して、カテーテル先端光学窓界面における血液の焦げ付きまでの現象を定量的に明らかにするため、レーザ照射中経時的に光学特性を計測したところ、焦げ付きまでの光学現象は赤血球形態変化に伴う光学特性変化によるものであることを明らかにした。本モニター法による焦げ付き未然防止のための事前検知の判定精度を検証したところ(in vivo)、sensitivity:0.88、false positive:0.72であり安全装置として実用上十分な精度を有することを示した。本モニターは、血中雰囲気で行われるレーザ治療にも広く応用可能であると考えられた。治療深度モニターに関しては、PR施行中の光感受性薬剤蛍光計測により心筋組織のネクローシス深度を推定する方法を検討した。PR進行に伴う光感受性薬剤退色に注目した指標;photosensitizer bleaching index(PBI)を提案し、PBIによるネクローシス深度推定の妥当性を実験的に調査した。In vivo開胸下動物実験においてPRを行い、術中に拡散反射蛍光強度を計測、PBIを算出した。術一週間後のネクローシス深度とPBIの相関を調査したところ、両者は自然対数近似にてR^2=0.58-0.83を示した。PRによる不整脈治療において治療進行モニターとして有用であると考えられた。本治療深度モニターは今後治療装置への搭載を予定して検討を行っている。
2: おおむね順調に進展している
本研究の目的は経カテーテル的な光学モニターとして(1)診断モニター、(2)治療モニター、(3)装置モニターを開発することにある。本年度は(3)装置モニターとして装置安全運用のための焦げ付き防止モニター法を確立し、生体内での運用可能性を確認した。また(2)治療モニターとして心筋組織のネクローシス深度を推定する治療深度モニターの検討を進めており、来年度中に治療装置への搭載を予定している。
(1)診断モニターおよび(2)治療モニターに関する検討を進める。(1)診断モニターに関しては早期退院を実現するための光線過敏症診断モニターの開発に取り組む。光線過敏症は光感受性薬剤の体内残存による日焼け症をいい、光線過敏症発症の光感受性薬剤濃度閾値を下回るまで患者は遮光入院する必要がある。PRによる頻脈性不整脈治療を早期に実用化するために光線過敏症診断モニターが役立つと判断したため、優先的に検討を行うこととした。(2)治療モニターに関しては、治療深度モニターの精度検討および、治療深度モニターから推定する心筋ネクローシス深度と即時的かつ永続的な電気伝導遮断深度との相関を大型動物(イヌ)を用いた経カテーテル的PRによる心筋電気伝導遮断実験にて検証する。
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