研究課題/領域番号 |
12J05223
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
應田 涼太 京都大学, ウイルス研究所, 特別研究員(DC2)
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キーワード | RIG-I / microRNA / IFN / PABP1 |
研究概要 |
我々は、RIG-I活性化に伴って発現量が上昇したmiRNAについて免疫応答の制御又は抗ウイルス作用に着目し機能解析を行ってきた。RIG-I活性化に伴って発現量が上昇したmiR-23bがRhinovirus(RV)の感染を防いでいることを既に論文発表したが、miR-23b以外にmiR-423-3pの過剰発現によってIFN発現量が上昇することを見出した。そこで我々はRIG-Iによって誘導されたmiR-423-3pが自然免疫応答制御に関わっているのではないかと考え、miR-423-3pの機能解析を行った。 バイオインフォマティックスの手法を用いてmiR-423-3pの標的遺伝子を探索した結果、Poly(A)-bindingprotein 1(PABP1)が標的候補遺伝子であることが明らかとなった。また、miR-423-3p過剰発現によってPABP1タンパク質発現量の低下が見られたことからもPABP1がmiR-423-3pによって発現制御されていることが強く示唆された。また、PABP1過剰発現によってIFN発現量が減少したためPABPIはRIG-Iシグナルを負に制御する機能を有しているのではないかと考え、PABP1とRIG-Iシグナル伝達に関与するシグナル分子との相互作用を免疫沈降法によって調べた。その結果、IRF3をリン酸化させるキナーゼであるTBK1との相互作用が明らかとなった。免疫応答制御における詳細なPABP1の作用機序を明らかにしようと研究を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
miR-423-3pによってIFN発現量が上昇することが明らかとなり、その作用機序についても道筋をたてることができたため。 本研究によってmiR-423-3pがPABP1発現制御を行っていること、又PABP1がRIG-Iシグナルを負に制御していることが明らかとなった。
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今後の研究の推進方策 |
今後の課題はPABP1がどのようにRIG-Iシグナルを負に制御しているか詳細な作用機序を明らかにすることである。これまでの研究によってTBK1がPABP1の作用分子の1つであることが示唆されたが、TBK1はIPS1と複合体を形成することが知られている。そのため今後はPABP1がIPS1複合体に影響を与えることでRIG-Iシグナルを制御しているかを明らかにするため解析を進める予定である。
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