研究課題
昨年度においては、RIG-I活性化に伴って発現量が顕著に上昇していたmiR-423-3pに着目し、miR-423-3pと自然免疫応答の関連性について研究を行った。バイオインフォマティックスの手法を用いてmiR-423-3pの標的遺伝子を探索した結果、Poly (A)-binding protein 1 (PABP1)が標的候補遺伝子であることが明らかとなった。また、PABP1過剰発現によってウイルス感染時におけるIFN発現量が減少したためPABPIはIFN誘導シグナルを負に制御する機能を有しでいるのではないかと考えられた。本年度においては、ウイルス感染によって活性化されるIFN誘導シグナルは大きく分けてToll-like receptor (TLR)シグナル経路とRIG-I-like receptor (RLR)シグナル経路があることから、まず始めにPABP1がどちらの経路を制御しているか明らかにしようと試みた。その結果TLRのアダプタータンパク質であるTRIFを過剰発現した際のIFN発現量はPABP1過剰発現によって抑制されなかったが、RLRのアダプタータンパク質であるIPS1を過剰発現した際のIFN発現量がPABP1過剰発現によって顕著に減少していた。また、恒常活性変異体であるIRF3-5Dの過剰発現によるIFN発現量はPABP1過剰発現によって差がみられなかったことから、PABP1はRLRシグナル経路を制御し、その制御部位はIRF3の上流であることが推測された。また、免疫沈降によってPABP1はIPS1とTRAF6と結合することが明らかとなった。さらに、ウイルス感染時にTRAF6がIPS1と結合した場合、界面活性剤であるNP-40で懸濁した際の不溶性画分に移行することが知られている。不溶性画分におけるTRAF6のタンパク質量をウエスタンブロッティング法によって測定したところPABP1過剰発現した細胞では、顕著に減少していることが明らかとなった。以上のことからmiR-423-3Pによって発現制御されているPABP1はIPS1とTRAF6と結合することによって、IPS1複合体形成を阻害する機能を有していると結論づけ新たなRLRシグナル経路制御機構として現在論文投稿中である。
(抄録なし)
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PLOS Pathogens
巻: 10 ページ: e1004012