研究課題/領域番号 |
12J05248
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
近藤 鮎子 慶應義塾大学, 社会学研究科, 特別研究員(DC1)
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キーワード | 自閉症 / 応用行動分析 / 特別支援教育 / 支援者養成 / 近赤外線分光法 / 早期発達支援 |
研究概要 |
1、J-PRT支援者養成プログラムの開発と運用:日本の現場で運用可能な自閉症児の日常環境内早期発達支援パッケージであるJ-PRTを開発し、マニュアル化した。また、J-PRTを適切に運用できる支援者を効率的に養成するための短期集中型プログラムを開発した。平成24年度は、12時間コース(2日間)と6時間コース(1日間)を全10回実施した。12時間コースは学生5名、6時間コースは学生・教員・心理士・言語聴覚士を含む19名が参加した。子ども役の大人を相手にして4分間の遊び場面のロールプレイを事前と事後に行ってPRTの技術の向上を評価した。事前・事後ロールプレイの4分間を5秒ずつに切り分けて全48ユニットとし、そのうち参加者が子ども役と適切な関わりを行ったユニットの割合を子ども役と参加者の相互作用の生起率とした。参加者24名の生起率を平均しすると、事前ロールプレイでは平均0.12だった相互作用の生起率が、事後ロールプレイでは0.31と向上した。最もトレーニング効果があった参加者は、事前ロールプレイでは0.15だった生起率が、事後ロールプレイにおいて0.69まで向上した。1~2日間のトレーニングを行うことで、参加者の子どもとの相互作用は大幅に増加した。 2、縦断的発達支援研究の予備的検討:2~3歳の自閉症児8名に対して週1回の直接支援を行い、J-PRTの効果を確かめると共に、研究の補助を行うスタッフがJ-PRTを運用できる体制を整えた。また3~5歳の自閉症児3名について、近赤外線分光法(NIRS)を用いて、音韻・音素に対する左右側頭葉の反応を測定した。その結果、頭部に固定する器具の形状や、測定中の動きや子どもの発声などによるノイズの影響が排除できないという問題点が明らかとなった。器具の形状の改善と、運用中の子どもの注意を集中させる方略を整え、来年度からNIRSの計測を本格的に行っていく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
以下の2点の理由から、おおむね順調に進展していると判断した。(1)J-PRTマニュアルを開発し、それに基づく支援者養成プログラムの効果を実証した。(2)自閉症児へのJ-PRTに基づく支援をスタートさせ、行動指標に基づいて支援効果を確認した。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、MRSを用いた脳機能計測や、視線測定を実施していく。測定中の子どもの動きに対応させた測定器具を開発し、ノイズの少ないデータ測定を目指す。また、機器の測定に強い不快感を示す子どもに対しては、強制をせず、緻密な行動データによって効果を明らかにしていく仕組みを開発する。
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