研究課題/領域番号 |
12J05256
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
萩原 誠智 九州大学, 生体防御医学研究所, 特別研究員(PD)
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キーワード | 小胞体 / 蛋白質品質管理 / レドックス / 小胞体関連分解 / セレノプロテイン |
研究概要 |
小胞体における新生タンパク質の品質管理機構とくに小胞体関連分解(ERAD)におけるレドックスカスケードに着目し細胞生化学的研究を展開している。小胞体で唯一ERADに関与する事が知られるジスルフィド還元酵素ERdj5がERAD基質を還元する際、ERdj5自身は酸化されるため、それを再還元する因子は必須である。そこでERdj5に結合する因子をLC/MS/MS解析により調べたところ、興味深い因子としてSep15が同定された。Sep15は小胞体に局在するセレノタンパク質の一つである。一般的にセレノシステインはシステインよりも高いレドックス活性を示し、またSep15はERdj5より還元的なレドックスポテンシャルを持つためERdj5を還元する可能性が強く示唆された。そこで、Sep15に着目し研究を行った。成果としてSep15をクローニングし、野生型、活性中心変異型のプラスミドを作成した。そのコンストラクトを用いた哺乳動物細胞発現系を構築した。また、Sep15のペプチド抗体作成を行った。作成した抗体は内在性および過剰発現したSep15を同定できることを確認した。更にSep15のノックダウン実験またノックダウン後の入れ戻し実験を行い、高効率でノックダウンおよび入れ戻し出来ることも確認済みである。in vivoの研究としてはこのノックダウンあるいは過剰発現した状態でERdj5のレドックス状態変化の検出およびERAD促進の有無を調べている。それによりSep15がERdj5の還元カスケード上流因子であるかを検証できる。in vitroでの解析として、Sep15の精製系確立を目指している。現在はSep15にFLAGタグを付けたコンストラクトをHKE293F細胞に発現させ、培地に分泌されたSep15をFLAGセファロースにより精製することを検討している。高純度で精製できればin vitroでの分析のみならず、最終的にはX船結晶構造解析にまで繋がると考えており、精製系の確立を急いでいる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画ではin vivoとin vitroでの系の確立および確立した系を用いたアッセイを行うところまでを記載していた。現段階では系の確立は順調に進んでいる。しかし、現状は系の確立段階でとどまっており、最も興味のある、それを用いての解析結果までは至っていないため、この評価とした。
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今後の研究の推進方策 |
達成度で述べたとおり、新規タンパク質に対する過剰発現系およびノックダウンやそれを同定するための抗体作成など系の確立は1頂調に進んでいる。研究実施計画に書いた内容を遂行する準備は完了した段階と言って良いと考えている。今後は、実施計画に書いたin vivoおよびin vitroの実験を変更することなく遂行していく。
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