研究課題
小胞体における新生タンパク質の品質管理機構について研究を行った。小胞体における異常タンパク質の分解機構である小胞体関連分解(ERAD)の鍵と考えられている逆行輸送複合体(ERAD複合体)のユビキチン結合(E2)酵素UBC6e依存的な調節機構に着目し研究を実施した。UBC6eは小胞体膜に存在するテールアンカー型の膜タンパク質であり、ユビキチン結合酵素として働く。UBC6e欠損マウスを用いた解析からUBC6e欠損により、ERAD複合体のいくつかの因子のタンパク質量が増加するという現象を見出した。先ず、このタンパク質量の増加がUBC6e依存的に調節されている事をUBC6e欠損マウス由来の繊維芽(MEF)細胞に対する入れ戻し実験により確かめた。その後、その調節がUBC6eのE2活性依存的であるがリン酸化状態には依存しない事、また小胞体内における厳密な局在、複合体状態が活性発揮に必須である事を見出した。次にUBC6eによるERAD複合体の調節が既知の異常タンパク質に対する品質管理(quality control)とは異なり、機能を有しているタンパク質に対する選択的な量的制御(quantity control)である事を発見した。方法としてはUBC6e依存的に分解されているERAD複合体因子の機能に着目し、UBC6e欠損MEF細胞と野生型MEF細胞で活性に違いがあるのかを調べる事で確かめた。UBC6e依存的に分解されるERAD複合体因子の多くはERAD活性を促進する事が既知の因子であったため、UBC6e欠損MEF細胞によりEARDが超活性になるか否かを調べた。過剰発現させたERADのモデル基質はUBC6e欠損により野生型に比べ分解が優位に促進される事を見出した。このことはUBC6eにより調節される因子は機能を有していることを強く示唆するものである。このquantity controlという概念は小胞体品質管理では今までに例をみない全く新しいものである。現在は、これらの結果をまとめ、海外一流紙に投稿準備中である。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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The Journal of Biological Chemistry
巻: 289 ページ: 34490ー34502
10.1074/jbc.M114.604132