研究課題/領域番号 |
12J05269
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
秋元 望 九州大学, 大学院・薬学研究院, 特別研究員(DC2)
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キーワード | CCL-1 / 神経障害性疼痛 / 神経細胞 / グリア細胞 / グルタミン酸 / サイトカイン |
研究概要 |
本研究では、CCL-1の神経およびグリア細胞に対する影響について様々な手法を用い評価を行い、総合的にCCL-1の神経障害性疼痛における新たな役割を解明し、新しい疼痛治療法開発を研究目的とし、研究を遂行した。 (1)CCL-1の神経細胞への影響: ・正常マウスの脊髄腔内にCCL-1を投与したところ脊髄NMDA受容体サブユニットのうち特にNR-1,2Bのリン酸化を引き起こすことが確認された。 ・電気生理学的手法を用い、CCL-1の神経伝達への影響を検討したところEPSCのfrequencyの上昇が観察された (2)CCL-1のミクログリア細胞への影響: ・CCL-1を髄腔内に直接投与した後、ミクログリア、アストロサイトの発現数、形態学的な変化について免疫染色を用い確認した。その結果、CCL-1髄腔内投与はcontrol投与群に比べミクログリア、アストロサイトの細胞数、形態の肥大化、また活性化の指標であるであるp38 MAPKのリン酸化が引き起こされていることが示された。 ・初代培養ミクログリアにCCL-1を作用させた時のサイトカイン、ケモカインの発現をRT-PCRによって定量的に検討したところBDNFおよびIL-6 mRNAの発現上昇、またNOの放出の増加が確認された。 (3)CCL-1の疼痛発現への影響: ・CCR-8 siRNAを正常なマウスに投与後、Electroporation法を用いCCR-8をノックダウン後、結紮により発現する疹痛にどのような影響があるのか、von Frey testを用い行動学的な検討を行ったところ、CCR-8ノックダウンマウスでは結紮により引き起こされる疼痛が有意に抑制されることが示された。 本研究成果より、CCL-1が神経障害性疼疹痛に関与しているということが詳細に裏付けされた。平成25年度ではCCL-1の神経細胞への影響についてより詳細な検討を行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成24年度では、CCL-1のグリア細胞への影響についての実験が予定通り遂行でき、予定していなかった検討(グリア細胞の活性化の指標であるであるp38 MAPKのリン酸化の検討)なども行うことができた。しかし、電気生理学的手法を用いたCCL-1の神経細胞への検討がすべて完了していない。しかし、平成25年度中に実験を遂行することとなっている。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度は王に電気生埋学的手法を用い、CCL-1の神経伝達に対する影響について検討する。この実験が平成24年度に完全に遂行できなかった理由として、実験装置を他の研究所に借りなくてはならないという点にあった。しかし、本年度は長期でその実験措置を使用できることとなっている。そこで平成25年度は、特に平成24年度に検討できなかったIPSCおよびEvoked EPSC、また神経損傷モデルを用いたこれらの検討を中心に行う。
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