研究課題
本研究では、CCL-1の神経およびグリア細胞に対する影響について様々な手法を用い評価を行い、総合的にCCL-1の神経障害性疼痛における新たな役割を解明し、新しい疼痛治療法開発を研究目的とし、研究を遂行した。平成24年度は、特にCCL-1のミクログリア細胞への影響について検討を行った。そこで、平成25年度はCCL-1の神経細胞への影響を検討した。CCL-1の神経細胞への影響を検討するため、CCL-1の受容体であるCCR-8が神経細胞上に存在するのかを免疫染色で確認したところ、CCR-8は脊髄の神経細胞上に正常マウスでも多く発現が認められ、また坐骨神経損傷後にはこれらの発現が増加することが確認された。また、坐骨神経損傷後に脊髄後根神経節においてCCL-1の発現が増加することを、CCL-1抗体を使用した免疫染色によって確認された。次にCCL-1の神経伝達機構への影響を検討するため、電気生理学的な検討を行った。その結果、CCL-1は脊髄後角において、興奮性伝達物質であるグルタミン酸の放出を促進すること、また、NMDA受容体の感受性を増大させることが示唆される結果が得られた。これらの研究より、CCL-1が坐骨神経損傷により引き起こされる慢性疹痛発現に関与していることが示された。これらの研究から、癒痛発現の予防薬や治療薬が開発されるよう、今後も研究を進展させていく予定である。
2: おおむね順調に進展している
昨年度には検討が行えなかった電気生理学検討が、今年度においては生理学研究所において検討できた。申請時に予定していた検討は、ほとんど確認でき、またこれらの成果は2報の学術論文として投稿し、受理された。
本研究課題は、今後も継続して研究を遂行する予定である。特に、疼痛発現メカニズムだけでなく、神経損傷によって引き起こされる内臓機能変化についても注目し研究を進展させる。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (4件)
Biochem. Biophys. Res. Commun.
巻: 436 ページ: 455-461
10.1016/j.bbrc2013.05.126
Cell Death & Disease
巻: 4
10.1038/cddis.2013.198