研究課題/領域番号 |
12J05304
|
研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
深堀 遼太郎 慶應義塾大学, 商学研究科, 特別研究員(DC1)
|
キーワード | 満足度 / 就業 / 制度変更 / パネルデータ / マイクロデータ |
研究概要 |
当該年度は、前年度から積み残された課題について、一層の前進を図るとともに、「研究の目的」や「研究実施計画」に記載した新たな分析に着手した。具体的には、1. 育児・介護休業法の改正に伴って義務化された短時間勤務制度が、育児女性の離職や満足度に与えた影響に関する研究の公表と一層の深化、2. 2000年に施行された介護保険制度についての影響分析、3. 景気と満足度の関係についての分析を行った。 1.については、まず、前年度にディスカッションペーパーとして公表した論文を加筆修正したものが、書籍論文として刊行された。この研究では、育児・介護休業法における短時間勤務制度の義務化によって、仕事満足度が改善され、離職も抑制されている可能性が示唆された。しかしながら、この分析には義務化後に実際に制度が導入・利用されているかどうかを識別していない、などといった問題点が残されていたため、これらを克服した再検証を行った。分析の結果、制度導入が満足度指標を向上させる証左は得ることはできなかった(並行して離職についても分析したが、離職については限定的に離職抑制に影響していた)。 2.の分析においては、介護保険の導入が、要介護者を抱える人々の就業や満足度(生活満足度・健康満足度)などに影響を与えたのかどうかを、DID法によって分析しているが、満足度に影響を与えたということは確認できていない。 以上の分析により、制度変更によって満足度を向上させることは容易ではないと明らかになってきた。 3.については、データを入手して分析を行っている段階である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
複数の制度変更に着目し、制度変更の影響について、様々な研究を行い、論文の形で公表した。それに加えて、当該年度から新たな分析にも着手できている。
|
今後の研究の推進方策 |
ミクロ計量経済学的な手法によって満足度と就業行動について分析を進め、最終年度としての成果をまとめる方針である。
|