研究課題
排便機能障害の原因は、先天性疾患、炎症性腸疾患などによる難治性痔瘻、直腸癌術後など様々であり、これに対する治療法も多岐にわたるが、機能再生・再建に関する方法は未だ確立されていない。顔面、前腕や子宮などQOL(quality of life)の向上を目的とした移植医療が、近年著しい発展を遂げる中で、新たな同種複合組織移植に関する研究を進めている。排便機能障害では、薬物療法、バイオフィードバック、仙骨神経刺激療法などの現存の治療で改善が見込まれる場合がある。しかし高度排便機能障害や排便機能が廃絶している場合は永久人工肛門となることが少なくない。永久人工肛門を回避する新たな治療として、ビーグル犬を用いた肛門移植モデルを作成した。陰部神経、陰部動静脈を同定し、外肛門括約筋、肛門挙筋を含めた移植片を直腸レベルで摘出し、顕微鏡下に神経、血管を吻合した後に、骨盤底筋群を再建し、同所性自家移植モデルを完成させた。現在長期機能を経過観察中である。肛門機能障害に対する治療には様々なニーズが存在するため、オーダーメードな治療が重要であり、肛門移植に対するニーズも存在すると考えている。今後は、再生医療と移植医療をコラボレーションさせた治療モデルの開発のほか、神経機能の重要性からバイオフィードバックなどの機能強化を組み合わせた、総合的な排便機能改善に関する研究が求められる。今後は、サンパウロ大学移植外科(ブラジル)、中国医薬大学形成外科(台湾)、アンタルヤ大学形成外科(トルコ)、ピッツバーグ大学移植外科(アメリカ)などと国際共同研究を進めていく予定である。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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