統計力学における予言は従来アンサンブル平均と呼ばれる、実現しえる状態全ての平均によって求められてきた。対照的に、たった一つの典型的な量子純粋状態によって全ての予言が可能な定式化を、申請者らは完成させた。 申請者は1.この定式化を「グランドカノニカル」と呼ばれる、粒子の数がゆらいでいるような系への拡張を行う事を目的として研究を行い、達成し、2.その実例として、大規模数値計算を物性研究所のスーパーコンピューターを用いて行った。 2.については、当初は量子スピン系で数値計算を実行する予定であったが、1.「グランドカノニカル」を用いた定式化と組み合わせるため、電子系での数値計算へと変更した。その結果、より一層の大きなインパクトとなり、Physical Review Letter B誌において、Rapid Communicationsと呼ばれるレター形式で出版された。
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