研究概要 |
腹腔の常在マクロファージは、Tim4を介して死細胞をその表面に結合し、さらに死細胞を効率よく貪食するが、貪食シグナルを伝える因子は不明である。一方で、Tim4、Rac1を発現させたBa/F3細胞(BaF3/Tim4/Rac1)は、死細胞をその細胞表面に結合するが、効率よく貪食することはできない。ただし、Tim4、Rac1に加え、MFG-E8/lntegrinの貪食シグナル系を導入すれば、 Ba/F3の貪食能は著しく上昇する。つまり、BaF3/Tim4/Rac1は、Rac1を活性化させる貪食シグナル系があれば死細胞を貪食する。そこで、腹腔常在マクロファージの貪食シグナル因子を同定するため、そのcDNAライブラリーをBaF3/Tim4/Rac1に導入した。そして、死細胞を貪食した細胞をソーティングすることを繰り返し、貪食能の高いBa/F3細胞を樹立し、その細胞に発現しているcDNAの同定を試みている。 また、予備実験として、cDNAライブラリーを導入していないBaF3/Tim4/Raclに死細胞を貪食させ、貪食した分画のソーティングを繰り返すことで、高い貪食能を持つBa/F3細胞(L111,L148,L224)を得た。これらの貪食能の高い細胞において、発現が変化した遺伝子を、affymetrix社のMicroarrayを用いて、網羅的に解析している。
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