研究課題/領域番号 |
12J05533
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研究機関 | 佐賀大学 |
研究代表者 |
菅 虎雄 佐賀大学, 工学系研究科, 特別研究員(PD)
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キーワード | 界面活性剤 / 環状ペプチド / ソフトマテリアル / 低分子ゲル化剤 |
研究概要 |
環状ペプチドを用いた生物活性評価に関して、低分子ゲル化剤などのソフトマテリアルを付加的な要素として環状ペプチドと同時に用いるための化合物合成を試みた。機能性環状ペプチドを低分子ゲル化剤が形成するゲルに内包または吸着させることによって機能性環状ペプチドの生物活性の向上や制御を試みた。更に低分子ゲル化剤を天然に存在する物質から合成することは近年の「環境にやさしい化学合成」の観点から重要であることから自然界に存在する天然物を出発原料としてゲル化剤の合成報告をしているニューヨーク市立大学化学科(米国ニューヨーク州ニューヨーク市)のGeorgeJohn博士の研究室に滞在し、当該低分子ゲル化剤の合成を試みた。 化合物合成計画として、グリシン、リシン、L-DOPA (L-3,4-ジヒドロキシフェニルアラニン)などのアミノ酸と農業廃棄物であるカシューナッツ殻の主成分であるカルダノールを出発原料として低分子ゲル化剤の合成を試みた。低分子ゲル化剤は自身の化学構造が界面活性剤様の構造であることが多いため低分子ゲル化剤として機能するものには界面活性剤として機能するものも多い。実際、合成を行ったアミノ酸誘導体は界面活性剤の能力指標としてよく用いられる臨界ミセル濃度が約0.5mMと比較的低い値であることが観察された。しかしながら、合成を行った化合物群において低分子ゲル化剤としての機能するものは観察されなかった。一方、目的化合物を合成するための合成中間体であるカルダノールーカルボン酸ナトリウム誘導体が非常に高いゲル化能を示すことが観察された。興味深いことに当該合成中間体は水と各種有機溶媒(ヘキサン、酢酸エチル、ディ門ゼルオイルなど)の多様な溶媒に対して高いゲル化能を示すことが観察された。機能性環状ペプチドを効率的に生物活性制御に用いるための基盤化合物の合成に関して一定の成果を収めることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
機能性環状ペプチドを効率的に生物活性制御に用いるための基盤化合物として低分子ゲル化剤の合成に着手した。その結果、水や各種有機溶媒を低濃度でゲル化させる化合物の合成に成功するなど一定の成果を収めることができたため。
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今後の研究の推進方策 |
数種の機能性環状ペプチドに合成に加えて、それらを単独或いは数種類を同時に実験系に加えて活性をみることが必要である。また、それら環状ベプチドの機能向上に役立つ支援化合物の調製も必要であると考えられる。
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