• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2012 年度 実績報告書

時区間ハイブリッドダイナミカルシステムを用いた心の分析とモデル化

研究課題

研究課題/領域番号 12J05573
研究機関京都大学

研究代表者

米谷 竜  京都大学, 情報学研究科, 特別研究員(DC2)

キーワード視線運動 / 視覚的顕著性 / 心的状態推定
研究概要

本研究では,我々人間がTVコマーシャルといった一般映像を視聴する状況をとりあげ,人間の心的状態および映像・視線ダイナミクス間の構造的・確率的依存関係性を数理的にモデル化し,視線運動の実環境計測に基づく心的状態の推定を行うことを目指している.視線と視対象,心理の関係性は古くより認知心理学分野などで研究されているが,そこで得られた知見の多くは人工的環境におけるものであり、実環境における関係性のモデル化を目指す点に本研究の学術的意義がある.提案モデルの独自性は,ダイナミクス間構造の表現法にある.具体的にはまず,映像・視線ダイナミクスを時区間ハイブリッドダイナミカルシステムとよばれる数理モデルを用いていくつかの要素的変化パターン(モード)により記述する.そして,両ダイナミクス間の時空間的構造をモード同士の関係として簡潔に表現する.これにより,映像や視線といった複雑なダイナミクス間の構造と集中状態との確率的依存関係を統計的に学習できるようになる.
本年度は,既存データセット(12種類のTVコマーシャル映像,2種類の集中状態に統制された10名の被験者)を用い,「特定の集中状態にある人間がどのような映像ダイナミクス(視覚的注意をひきつける領域の動きパターン;顕著性変動)に視線を向けるか」という映像・視線ダイナミクスが持つ空間的構造のモデル化,および集中状態推定への応用について研究を実施した.視線の向けられる顕著性変動パターンは高集中時.低集中時で異なっており,このような違いの傾向をあらかじめ統計的に学習しておくことによって.新たに得られた視線データからその集中状態を推定することが可能になる.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

実験の結果,提案手法によって精度よく集中状態の推定ができることが示された.また本研究ににおける「視線運動解析・心的状態推定のために映像ダイナミクスの解析を行う」というアプローチは対外発表において高く評価されており,その成果は画像認識・理解に関する国内シンポジウムにおいて学生最優秀論文賞を受賞した.また,同発表を拡張した論文が,現在研究会推薦論文として電子情報通信学会論文誌に条件付採録されている.

今後の研究の推進方策

本年度の研究においては,映像の顕著性変動と視線運動間の空間構造を中心にダイナミクス間構造のモデル化および評価を行ってきた.これを受けて次年度は,映像の顕著性変動と視線運動間の時間構造のモデル化を行う.映像視聴中の視線運動は,「顕著領域の出現に対して遅延して反応する」「顕著領域の動きを予測して先回りする」
といった,顕著性変動に対する時間的なずれが存在することが明らかになっている.本研究ではこのようなずれの持つ構造を統計的に学習し,視線運動予測や心的状態推定といったタスクによってそのモデルの性能を評価する.

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2012

すべて 学会発表 (2件)

  • [学会発表] Modeling Video Viewing Behaviors for Viewer State Estimation2012

    • 著者名/発表者名
      Ryo Yonetani
    • 学会等名
      ACM Multimedia Doctoral Symposium (ACMMM 2012 DS)
    • 発表場所
      奈良県新公会堂
    • 年月日
      20121029-20121102
  • [学会発表] 映像の顕著性変動モデルを用いた視聴者の集中状態推定2012

    • 著者名/発表者名
      米谷竜, 川嶋宏彰, 加藤丈和, 松山隆司
    • 学会等名
      第15回画像の認識・理解シンポジウム(MIRU2012)
    • 発表場所
      福岡国際会議場
    • 年月日
      20120806-20120808

URL: 

公開日: 2014-07-16  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi