研究課題
調査に関わる作業としては、ハラスメント関与経験を中心に、当該年度以前から聞き取りを続けてきたインフォーマントへの追加インタビューを重ねた。事例横断分析の結果(ハラスメントの形成過程に関する暫定的仮説)を、学会(国内)で報告した。そこでは、「出来事」ではなく「関係性としてのハラスメント」が形成される過程が、異なる専門領域における語りを通底する経験として見出せることを示した。インタビュー調査から得られた知見を、ポスト構造主義的大学論等の理論的知見と接合する作業も進展した。まず、理論的考察に重点をおいた報告を学会(国外)で報告した。その後、海外学会で得られたコメントなどを反映させた議論を、国内学会(テーマ部会)で報告した。年度末には、昨年度までの研究知見と上記の成果の一部をまとめ、書籍(和書・単著)として刊行した。ハラスメントと不正行為の連関については、共同研究(定量調査〉から得られたデータも踏まえた検討を行うことで、より包括的な考察結果を得ることができた。特に複数著者論文におけるオーサーシップ不正の現状に関しては、昨年度から議論の精緻化を重ねたものを論文投稿し(英文・共著筆頭)、掲載が決定した。論文の中では、日本の自然科学領域において少なくない人々が受け入れている複数著者論文発表の慣習等が、意図せざる不正行為発生とも結びつきうる現状を、英米圏での議論と対照させながら検討した。これは、近年社会的にも関心が高まる不正行為問題とその防止を展望するための、議論の基盤となる成果と言える。また、総合誌への論文寄稿(和文・単著)を通じて、研究成果を大学内外の多様な領域に向けて発信した。
(抄録なし)
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International Journal of Japanese Sociology
巻: Vol23,Issue 1(印刷中)(AIDIJJS12016)
現代思想
巻: 41号15巻 ページ: 166-178