研究課題
神経障害性疼痛は、糖尿病やヘルペス感染等による神経障害が原因となって起こる難治性の慢性疼痛であり、その症状には概日性の変動が認められる。これまでに我々は、神経障害性疾痛モデルマウスを用い、げっ歯類における主要なグルココルチコイドであるコルチコステロン(以下CORT)が、神経障害性疹痛の概日リズム形成に寄与していることを見出した。しかしながら、グルココルチコイドの標的遺伝子の同定までには至っていない。本研究では、神経障害性疹痛の発症において重要とされる脊髄を対象に、CORTによって発現リズムが調節される神経障害性疾痛の制御遺伝子を同定することを目的に実験を行った。実験にはICR雄性マウスを用いた。マウスの坐骨神経を絹糸で結紮し、神経障害性疼痛モデルの一つであるPartial Sciatic Nerve Ligation、(PSL)マウスを作成した。PSLマウスから手術後7日目の明期後半または暗期後半に脊髄をサンプリングし、マイクロアレイ法によってmRNAの発現量を比較した。さらに、CORTの分泌組織である副腎を摘出したPSLマウスとその偽手術を施したPSLマウス間でmRNAの発現量を比較した。その結果、疼痛強度が増悪する時間帯において発現が高値を示し、副腎を摘出することで発現リズムが消失した遺伝子が28個抽出された。以上の結果から、グルココルチコイドによる転写制御を受けるこれら28個の遺伝子のいずれかが神経障害性疾痛の概日リズムを制御しており、生体リズムを基盤とした新規治療標的分子となり得る可能性が示唆された。
2: おおむね順調に進展している
神経障害性疼痛に対する新規治療薬の標的となる候補遺伝子を抽出することができた。
(抄録なし)
すべて 2013
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Journal of Neurological Disorders
巻: vol.1
10.4172/2329-6895.1000120
Scientific Reports
巻: vol.3
10.1038/srep02744