研究課題/領域番号 |
12J05702
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
有本 尚央 京都大学, 文学研究科, 特別研究員(DC2)
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キーワード | 祭り / 組織 / 地域社会 / 地域文化 |
研究概要 |
本研究は、現代日本における同種複数の祭礼の空間的広がりに注目し、それぞれの祭礼がどのような相互的影響関係にあるのか、また祭礼を支える「地域社会」が上記の影響関係のもとでいかに再編・再創造されるのかを社会学的に調査研究することを目的としている。 本年度は、大阪府岸和田市のだんじり祭に対する参与観察とインタビュー調査とともに、大阪府堺市のだんじり祭に関するインタビュー調査を行った。また、国内の複数の祭礼についても概括的な調査を行った(東京、秋田、愛知、鳥取)。さらに、今後の比較研究に向けて、ネパール・カトマンズのマムラ・ジャトラ祭礼ならびにマチェンドラナート祭礼についての予備的調査に着手した。 特に本年度においては、祭礼組織の構造的特徴に関する調査を進めることによって、祭礼組織の重層性・柔軟性のメカニズムを明らかにすることができた。また、祭礼の担い手および祭礼に関連するモノの移動の実態を把握するとともに、現代社会における祭礼の管理・運営上の課題や問題点についての理解を深めた。さらに宗教社会学的祭礼研究と地域社会学的祭礼研究の比較を行うことによって、それぞれの立場における理論的背景の共通点・相違点に関する知識社会学的研究にも進展が見られた。その成果の一端は、論文「岸和田だんじり祭の組織論―祭礼組織の構造と担い手のキャリアパス」として発表した。また、近年、ますます過激化するだんじり祭の変化の要因に関する考察を日本社会学会で報告した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
特に今年度、研究が当初の計画以上に進展しでいるといえるのは、以下の2点である。 第一は、祭礼運営組織の重層性・柔軟性のメカニズムを明らかにしたことにより、先行研究が抱える問題のひとつであった聖中心的モデルではなく、さらには水平的なネットワークモデルでもない新たな視点を提示できた点である。第二は、それにより、都市祭礼の国内比較あるいは通文化的比較の困難性を乗り越える可能性を見出した点である。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、国内における比較調査のみならず、国際的な比較調査を視野に入れた研究を進めていく予定である。既にネパールの都市祭礼調査については、本年度内に着手することができた。次年度は、ネパールにおける調査を進めるとともに、アジア諸国の都市祭礼、そのなかでも特に曳山を用いる祭礼についての調査を開始する。
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