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2012 年度 実績報告書

歯周病原性細菌の新規ゲノム多様化機構と口腔内生存戦略

研究課題

研究課題/領域番号 12J05796
研究機関東京医科歯科大学

研究代表者

渡辺 孝康  東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 特別研究員(DC2)

キーワードPorphyromonas gingivalis / 歯周病原細菌 / 比較ゲノム解析 / トランスクリプトーム / ゲノム再構成 / 遺伝的組換え / CRISPR
研究概要

歯周病原細菌Porphyromonas gingivalisは,歯周病の発症・進行に関与すると考えられているが,その詳細なメカニズムは未だ不明である.そのため,歯周病の治療は,スケーリングなどによる細菌の機械的除去に依存しているのが現状である.本研究では,P.gingivalisの口腔内生存戦略を解明することを目的として,重度歯周病からの分離株TDC60のゲノム配列決定と比較ゲノム解析,ならびにP.gingivalisの種内多様性解析を行ってきた.
その中でまず,ゲノム配列が既知である実験室株のゲノムには存在しないTDC60特異的遺伝子のうち8個の機能未知遺伝子を,線毛遺伝子などの経時的転写発現パターンとの類似性から,新規病原性遺伝子の候補として選出した.また,ゲノム配列ならびに特定の遺伝子座の塩基配列の解析から,P.gingivalisがゲノム再構成・遺伝的組換えによって種内多様性を創出する菌種であることを示した.さらに,細菌の獲得免疫機構として近年注目されるclustered regularly interspaced short palindromic repeat(CRISPR)の解析から,P.gingivalisのCRISPRはゲノム再構成・遺伝的組換えの両者を抑制的に制御している可能性を示した.
本研究で選出した新規病原因子の候補は,P.gingivalisを標的とした創薬の可能性を秘めており,歯周病の新規治療法の開発につながると考えている.また,2gingivalisの種内多様性制御仮説は,細菌種p.gingivalisを標的とした歯周病治療法を考える上で有用なだけでなく,一般細菌学においても他の細菌種の進化戦略を解析する際に活かし得る知見であると考えている.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

P.gingivalis TDC60株のゲノム配列決定と比較ゲノム解析ならびにP.gingivalisの種内多様性解析を,当該年度内に終えており,かつCRISPRの詳細解析によって新たな仮説の提唱を達成することができたことから,研究はおおむね順調に進展しているものと評価する.

今後の研究の推進方策

今後は,当該年度中に提唱した仮説の検証を行っていくべきであると考えている.その際,多数のP.gingivalis菌株のゲノム配列を決定することで,P.gingivalisのゲノム情報が充実して細菌学的に有用なだけでなく,未知CRISPRの同定などによって仮説の検証を助けるものと期待している.また,CRISPRの機能を実験的に検証することも計画している.

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2013 2012

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (6件)

  • [雑誌論文] Complete genome sequence of a Propionibacterium acnes isolate from a sarcoidosis patient.2013

    • 著者名/発表者名
      Minegishi K, Aikawa C, Furukawa A, Watanabe T, Nakano T, Ogura Y, Ohtsubo Y, Kurokawa K, Hayashi T, Maruyama F, Nakagawa I, Eishi Y
    • 雑誌名

      Genome Announcement

      巻: 1 ページ: e0001

    • DOI

      10.1128/genomeA.00016-12.

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Complete genome sequence of the serotype k Strept ococcus mutans strain LJ23.2012

    • 著者名/発表者名
      Aikawa C, Furukawa N, Watanabe T, Minegishi K, Furukawa A, Eishi Y, Oshima K, Kurukawa K, Hattori M, Nakano K, Maruyama F, Nakagawa I, Ooshima T
    • 雑誌名

      Journal of Bacteriology

      巻: 194 ページ: 2754-2755

    • DOI

      10.1128/JB.00350-12.

    • 査読あり
  • [学会発表] 遺伝的組換えとCRISPRによる相反的な細菌種内多様性制御2013

    • 著者名/発表者名
      渡辺孝康、野澤孝志、相川知宏、遠藤亜希子、丸山史人、中川一路
    • 学会等名
      日本細菌学会総会(第86回)
    • 発表場所
      幕張メッセ(千葉)
    • 年月日
      20130318-20130320
  • [学会発表] 細菌種内多様性創出の新規制御機構2013

    • 著者名/発表者名
      渡辺孝康、野澤孝志、相川知宏、遠藤亜希子、丸山史人、中川一路
    • 学会等名
      日本ゲノム微生物学会年会(第7回)
    • 発表場所
      長浜バイオ大学(滋賀)
    • 年月日
      20130308-20130310
  • [学会発表] CRISPR解析による歯周病原性細菌の種内多様性創出機構の解明2012

    • 著者名/発表者名
      渡辺孝康、野澤孝志、相川知宏、遠藤亜希子、丸山史人、中川一路
    • 学会等名
      日本ゲノム微生物学会若手の会研究会(第6回)
    • 発表場所
      ろうきん研修所富士センター(静岡)
    • 年月日
      20120927-20120928
  • [学会発表] 可動性因子が生み出すPorphyromonas gingivalis種内多様性機構の解明2012

    • 著者名/発表者名
      渡辺孝康、野澤孝志、相川知宏、遠藤亜希子、丸山史人、中川一路
    • 学会等名
      歯科基礎医学会学術大会(第54回)
    • 発表場所
      奥羽大学(福島)
    • 年月日
      20120914-20120916
  • [学会発表] 可動性遺伝因子による歯周病原性細菌の種内多様性創出2012

    • 著者名/発表者名
      渡辺孝康、野澤孝志、相川知宏、遠藤亜希子、丸山史人、中川一路
    • 学会等名
      細菌学若手コロッセウム(第6回)
    • 発表場所
      八王子セミナーハウス(東京)
    • 年月日
      20120808-20120810
  • [学会発表] Intraspecific diversification of periodontal bacterium Porphyromonas gingivalis clarified by comparative mobilome anaysis.2012

    • 著者名/発表者名
      Watanabe T, Furukawa N, Nozawa T, Aikawa C, Haobam B, Endo A, Maruyama F, Nakagawa I
    • 学会等名
      General meeting of the American Society for Microbioloty (112th)
    • 発表場所
      Moscone North and South(San Francisco, U.S.)
    • 年月日
      20120616-20120619

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公開日: 2014-07-16  

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