研究概要 |
Id2遺伝子欠損マウス,Id3欠損マウスにおいて、B細胞活性化状況が異なることに起因すると思われる免疫反応の異常を、それぞれのマウスにおいて見いだしている。このB細胞活性化の差異を生み出す分子基盤を明らかにする目的にて、Id2-/-B細胞、Id3-/-B細胞と、コントロールB細胞をin vitroにて分化誘導し、cDNAマイクロアレイを用いて遺伝子発現プロファイルのスクリーニングを行った。その結果、Id2,Id3欠損により発現量に変化の見られる多数の遺伝子群が明らかになった。 B細胞活性化にはB細胞受容体からのシグナルが重要である。野生型およびId2遺伝子欠損、Id3遺伝子欠損マウスのB細胞シグナリングの変化を解析した結果、一部のシグナリング経路に有為な差を見いだした。 さらに解析をすすめるため、野生型Id2、Id3及び、各種ドメイン欠損型Idをtetracycline依存的に過剰発現できる細胞株をA20細胞株を用いて作製し、各種Idによる遺伝子発現制御機構と、BCRシグナル制御過程における役割の違いを検索した。その一方でId2,Id3が様々なB細胞分化状態の維持にどのように関与しているのかを再度詳細に検証する目的にて、種々分化段階のB細胞株をもちいたinducible lineを樹立した。しかし、これらの細胞株を用いた実験からはId2とId3の機能的相違を見いだすことは出来なかった。そこで、Id2欠損マウス、Id3欠損マウスに加えて、Id2,Id3をinducibleに発現誘導出来るマウスの作成に着手した。
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