研究概要 |
本年度は,画像データの収集と時空間SFMの理論構築を行った.さらに,構築した理論を東日本大震災の津波被害地域で撮影された画像に適用して有効性を確認し,その成果をまとめてコンピュータビジョンのトップカンファレンスCVPR2013に投稿した. 具体的には,青森県八戸市から福島県南相馬市の東日本大震災で津波被害を受けた沿岸部を,約2,3か月おきに撮影した。撮影した画像を用いて街並みの3次元復元を行い,さらに,異なる時刻(数か月)の画像をマージして単一座標系へ登録する位置合わせも行った.その位置合わせの結果を利用して街並みの時間変化を推定した.この位置合わせと街並みの時間変化の推定を行う際にさまざまな課題が発生し,それらを解決した. まず,各時刻の画像データを対象にそれぞれ独立に3次元復元を行い,その復元結果に対しGPSの位置情報と画像特徴量を用いておおまかに位置合わせを行った.そして異なる時刻の特徴点を統合して,再投影誤差を最小化するためのバンドル調整を行った.この手法により比較的環境変化が大きい環境でも位置合わせを行うことが可能となった. 次に,この位置合わせの結果を利用して街並みの時間変化を推定する.3次元形状を陽に求めず,確率的に表現することで時間変化を推定した.さらに,異なる時刻間では幾何情報のみを比較し,画像(色)情報は同一時刻間でのみ比較することで,照明条件の変化に頑健な手法を実現した.提案した手法の有効性をさまざまなシーンで確認し研究成果をまとめて国内外の学会に投稿した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定通り約2,3か月おきに津波被災地(沿岸部約500km)を撮影し画像データを収集した.さらに,いくつかの都市を対処に3次元復元,位置合わせ,時間変化の推定を行うための理論構築と実装を行い有効性を確認した.さらに,提案手法を国際会議に採択され高い評価を得た.
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今後の研究の推進方策 |
今後も津波被災地の撮影を継続する.また,提案した時空間モデリング手法を実用化するためには頑健性と精度を向上させる必要がある.そのため,平成25年度は米国カーネギーメロン大学の金出武雄教授に指導を受ける.カーネギーメロン大学は世界屈指の大学であり,その中でも金出教授は理論と実用を兼ね備えた最先端の研究を行っている.その最先端の技術を時空間モデリングに応用することでこれまでにない新たな手法を確立する.渡米中の被災地の撮影は謝金を支払い他の方に依頼する.
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