• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2012 年度 実績報告書

新規酸素センサーTRPA1を介したマウス体内への酸素供給制御機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 12J06008
研究機関京都大学

研究代表者

香西 大輔  京都大学, 工学研究科, 特別研究員(DC2)

キーワードTRPA1 / 酸素
研究概要

近年、申請者らはtransient receptor potential(TRP)と呼ばれるCa2+透過性カチオンチャネル群の一員であるTRPA1が高濃度酸素および低酸素によって活性化されることをin vitroレベルで明らかにした。酸素は好気性生物にとって必須であると同時に有害でもある。そのため哺乳動物では、頸動脈小体やnodose ganglion由来の迷走・上喉頭神経などの化学受容器が酸素濃度の変化を感知して体内への酸素供給を制御するというシステムが発達してきた。しかし、これら化学受容器における詳細な酸素感知機構は未解明である。本年度は、まず、TRPA1の発現部位の同定をおこなった。その結果、TRPA1が気管および肺に投射している迷走神経に発現していることを明らかにした。次に、高酸素および低酸素に対して応答する神経の評価をおこなった。高酸素に対しては迷走・上喉頭神経が重要であることを明らかにし、その一方で、低酸素に対しては、これまでよく知られていた舌咽神経の働きだけでなく、迷走・上喉頭神経も重要であることを明らかにした。さらに高酸素および低酸素吸入に伴う迷走神経活動を測定して、wild-typeマウスとTrpa1-knockoutマウスで比較した。その結果、TRPA1が迷走神経において、高酸素および低酸素に対する神経活動の増強に関与していることを明らかにした。以上の結果から、マウス体内への酸素供給制御には、迷走神経におけるTRPA1が重要であることが強く示唆された。TRPA1は酸素に対して応答を示すが、酸素は弱い酸化剤であることから、TRPA1は非常に高い酸化感受性を有していると考えられる。このTRPA1の酸化感受性という点に関連して、TRPA1がS-トランスニトロシル化という酸化反応に対しても高選択的に応答を示すということを発見した。電気生理学的手法を用いてS_トランスニトロシル化により活性化したTRPA1由来のイオン電流の記録に成功した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当該年度は当初の目的の通り、TRPA1が気管および肺に投射している迷走神経に発現していることを明らかにし、それら神経細胞の高酸素および低酸素に対する神経活動応答がTRPA1に由来することをwild-typeマウスおよびTrpa1-ノックアウトマウスを用いて明らかにできたため。

今後の研究の推進方策

現時点では研究計画に変更はなく、高酸素および低酸素吸入時のマウス呼吸変化の評価および呼吸変化に伴うマウス個体への影響を評価する計画である。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2012

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] TRP channels : sensors and transducers of gasotransmitter signals.2012

    • 著者名/発表者名
      Takahashi N, Kozai D, Mori Y
    • 雑誌名

      Frontiers in Physiology

      巻: 3 ページ: 324

    • DOI

      10.3389/fphys.2012.00324.

    • 査読あり
  • [学会発表] TRPAチャネルの活性化分子機構とその多様性2012

    • 著者名/発表者名
      香西大輔, 高橋重成, 吉原朋弘, 中尾章人, エベルトマキシミリアン, 唐木文霞, 尾谷優子, 樺澤洋治, 沼田朋大, 清中茂樹, 大和田智彦, 森泰生
    • 学会等名
      生理学研究所研究会「TRPチャネル群の動作原理と生理・病理機能の統合的理解」
    • 発表場所
      生理学研究所(愛知県)
    • 年月日
      2012-06-14
  • [学会発表] Activation of TRPA1 channels by transnitrosylating reagents2012

    • 著者名/発表者名
      Kozai D, Ebert M, Karaki F, Otani Y, Kabasawa Y, Takahashi N, Numata T, Kiyonaka S, Ohwada T, Mori Y.
    • 学会等名
      1st European Calcium Channel Conference
    • 発表場所
      Alpbach (Austria)
    • 年月日
      2012-05-18
  • [図書] ここまで進んだバイオセンシング・イメージング16章脳内の化学センサー2012

    • 著者名/発表者名
      澤村晴志朗, 香西大輔, 森泰生
    • 総ページ数
      150-158
    • 出版者
      化学同人

URL: 

公開日: 2014-07-16  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi