研究概要 |
本研究の目的は広域な過飽和条件下で様々なサイズの立方体および棒状の種を用いた場合の不均一核生成現象を解明することである。そこで、今年度の具体的な研究手順は以下のようであった。 1.数種類の過飽和条件下において,立方体の種による不均一核生成の結果を球形のものと比較する. 2.1と同様の条件下において,棒状の種による不均一核生成を調べ,球形および立方体のものと比較する. 3.棒状の種の回転が均一核生成と凝縮に及ぼす影響を調べる. 4.種を立方体から棒状に段階的に変化させ,縦横比が均一核生成と凝縮に与える影響を調べる. 手順1に対する結果はすでに論文に掲載され、以下の13番の研究発表の中に載せている。この論文の核心は立方体形の種の方が球より核生成速度が1桁早く、その原因は種の表面の曲率の有無と関係があることを確かめたことである。手順2の結果からはまだ投稿準備中で多数の棒状の形を調べた上、種の周りの凝縮速度は種のサイズに寄らず球よりは速く、立方体よりは遅くなった。その理由は棒状の側が表面積が一番広いのに実際回りの気体にかかる引力は立方体ほど強くないからである。手順3では種の回転によるかはまだ調べているが、高い過飽和条件に発生する均一核生成に影響を与えることが分かった。手順4を実行するため13個の縦横比とサイズが違う棒状の種を作った。その結果、棒状の種が均一核生成と凝縮に与える影響は両方弱いことが分かった。均一核生成速度に影響が弱いのは他の形の種と一緒に均一核生成自体は種の形より系の過飽和度により依存性が高いためである。凝縮速度は手順2の結果から見れば分かる。棒状の形の種の結果をまとめるとナノ粒子の初期成長には縦横比より立方体の形の方が成長しやすい結果が出た。 本年度の結果は前述の通りすでに雑誌に出版された結果もあり、多数の国際会議にも発表した。
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