2013年度は天候ショックから農民を保護する政策の立案のために、天候インデックス保険の研究を重点的に実施した。研究の主たる目的は、降水量をインデックスとした保険を提示し天候不順のリスクを除去することにより、高収益を達成できる農業活動への投資が促進されるかどうかを検証することであった。その目的を達成するために、2012年度に実施した降雨量インデックス型保険に関するフィールド実験の追跡調査として2013年6月に新たに55家計を比較群としてサンプルに加えた、209家計よりデータを収集した。さらに、前年度に実施したデータの情報を最大限活用するために、同じ土地ごとにデータを接続することでパネルデータを構築し、そのデータ整理も完了した。農業生産に関する分析を進めた結果、追加的に無料で保険金を供与されたグループにおいて、メイズ収量はその他のグループよりも統計的に有意に低かったことが明らかとなった。この結果は、今期が干ばっであったことを考慮すると、保険によりリスクから保護されると、収益の分散が高くなる性質を持つ投入物の利用が促進され、ひいては農業生産量の分散も高まる、という理論的予測に一致する結果となった。しかしながら、保険契約の基準としている測候所の降雨量の累積値は事前に定められた降水量を下回らなかったため、保険金の支払いは行われなかった。すなわち、本結果により、悪天候の場合でかつ保険金が支払われないというBasis Riskの状況が不幸にも生起すると、保険供与が農民の厚生を下げてしまう可能性が示唆された。
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