研究実績の概要 |
(1) フッ素集積星型ポリマーゲルの合成および水中フッ素界面活性剤の分離 平成26年度は、フッ素集積星型ポリマーの核を連結した星型ポリマーゲルを合成し、これを用いて水中のフッ素界面活性剤の水中からの除去を検討した。 合成 Ru錯体を用いたリビングラジカル重合により多置換フッ素モノマー(13FOMA)存在下、ポリエチレングリコール(PEG)型開始剤を架橋し、未反応オレフィンを核にもつ親水性フッ素核星型ポリマーを合成した(Mw=527000、枝数58本、核内13FOMA個数350個、オレフィン個数99個)。本星型ポリマーを高濃度に溶解し、ラジカル重合開始剤を加えて架橋すると、星型ポリマーゲルを得た。 水中フッ素界面活性剤の捕捉 上記で得た星型ポリマーゲルとフッ素系界面活性剤(パーフルオロオクタン酸:10ppm)を水中で12時間撹拌後、ゲルをろ過すると、それら界面活性剤を94%以上簡便に除去できることを見出した。 (2) 両親媒性フルオラスコポリマーの合成と折り畳み挙動、及びタンパク質安定化 親水性およびフルオラス性側鎖を有する両親媒性フルオラスコポリマーを設計および合成し、水中のみならず有機溶媒やフルオラス溶媒など外部環境に応答した可逆的な動的空間の構築を目指した。 合成 塩素型開始剤(R-Cl)にルテニウム錯体を組み合わせて、トルエン中80度でPEGMAと13FOMAをランダム共重合した (PEGMA/13FOMA/R-Cl = 200/0/1ー80/120/1, Mn = 97400ー108000, Mw/Mn = 1.1ー1.4)。本ポリマーは、水中ではフッ素側鎖が会合したフルオラス性空間を形成し、フッ素溶媒中ではPEGが会合した親水性空間を形成した。 機能 本ポリマーを用いると、リゾチームをフッ素溶媒中(2HPFP: 2H,3H-perfluoropentane)に可溶化させることができた(CD測定により確認)。2HPFPに溶解させたリゾチームは、水により定量的に抽出および回収することができた。酵素活性を評価すると、タンパク質は活性を維持できていることがわかった。
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