研究課題/領域番号 |
12J06194
|
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
高橋 豪 東北大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC1)
|
キーワード | 地球核 / 炭素 / 鉄炭化物 / 高温高圧実験 / その場X線回折実験 |
研究概要 |
研究課題である高温高圧下でのFe-Si-C系やFe-CO2系の相平衡・融解実験では鉄炭化物の形成が予想される。鉄炭化物の一つとして、常温常圧から安定であるFe_3Cが挙げられる。地球内核の構成物の一つとしてFe_3Cの存在が予想されているが、現在報告されているFe_3Cの高温での安定性については70万気圧までと限られており、地球核の圧力条件である135~364万気圧に届いていない。 Fe-Si-C系やFe-CO_2系の研究を始める準備としてFe_3Cの高温高圧実験を行った。Fe_3Cの高温高圧条件での安定性を調べるために、放射光施設SPring-8でのその場X線回折実験を行い、230万気圧、4000Kまでの圧力・温度条件までFe_3Cが安定であることを明らかにした。また、Fe_3CはFe_7C_3+Liquidへ不一致溶融することが報告されており、X線回折パターンの消失による融解判定法からFe_3Cの不一致溶融点を200万気圧までの条件で決定した。液体である地球外核と固体である内核の境界圧力条件である330万気圧におけるFe_3Cの不一致溶融点は5400Kと見積もられた。現在の地球内核が5000~70OOKの温度条件であるとの予想から、地球内核の結晶化過程を推測すると、液体核からまず初めにFe_7C_3が結晶化し、続いてFe_3CからFe+Fe_3Cへと結晶化することが予想される。Fe-C系を考えた場合、地球内核はそれらの炭化物の層構造をなしており、近年報告されている内核の最内核構造や異方性の説明が可能であると考えられる。今後、研究課題であるFe-Si-CやFe-C-O系の多成分系の融解実験に着手し、地球中心部での炭素の存在様式について明らかにする。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
Fe_3Cの安定性と融解実験に時間を割いてしまい、予定のFe-Si-C系の融解実験・Fe-CO_2系の相平衡実験に着手することが遅れている。しかし、地球中心核の300万気圧以上の超高圧発生技術は取得したので、今後多成分系の実験を素早く進めたい。
|
今後の研究の推進方策 |
現在、国内でダイヤモンドアンビルセルへのCO_2の気体封入は困難であることが分かった。Fe-CO_2系の相平衡実験にはCO_2の発生元としてMgCO_3のような炭酸塩を用いる必要がある。すでにMgCO_3は取得しているので、素早くFe-CO_2系の実験に着手したい。
|