研究課題/領域番号 |
12J06221
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
月岡 靖智 大阪市立大学, 大学院・経営学研究科, 特別研究員(DC2)
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キーワード | 利益調整 / 会計的裁量行動 / 実体的裁量行動 / MBO / マーケット・タイミング |
研究概要 |
経営者による上場企業の買収(MBO)に関する先行研究をレビューし以下2つに分類した。第1は経営者がMBOを行う際に買い付け価格を低く抑えるために利益調整を行っているかどうかに焦点を当てており、多くの論文が利益調整の有無を検証していた。第2はMBO後の経営業績の改善、1業価値の向上に焦点を当てたものであった。 本研究ではMBO企業の利益調整に焦点を当て検証を行った。先行研究では利益調整として会計的裁量行動にのみ焦点があてられていたが、本研究ではMBO企業の会計的裁量行動および実体的裁量行動を通した利益調整について検証をおこなった。分析の結果、リーマン・ショック前においてMBO企業がMBO前に会計的裁量行動を行っている証拠を発見した。しかし、MBO企業が実体的裁量行動を行っている証拠を発見できなかった。 次にマーケット・タイミングの利用に関して、MBO前の株式収益率とMBO実施の可能性について検証を行った。分析の結果、リーマン・ショック後においてはMBO前の株価の下落とMBOの実施の可能性の間に正の関係があることを発見した。MBO企業はリーマン・ショック後の株価の下落を利用しMBOを行っているかもしれない。 さらに、新規株式公開(IPO)前後の会計的裁量行動および実体的裁量行動についても検証を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究目的は概ね達成できており分析及び論文も完成している。論文は現在投稿中であり掲載に向けて全力を尽くしたい。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画に基づき、MBO前の利益調整が株式収益率に与える影響を検証していく。また、並行してIPO前後の利益調整の有無、IPOの属性がIPO周辺の利益調整に与える影響を検証する。
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