研究概要 |
1a.14-3-3との相互作用に重要なリン酸化部位の同定およびそのリン酸化とC/Nの関係性の検証 相互作用解析から,ATL31の209番目のスレオニン残基(T209)が14-3-3との結合に特に重要であることを明らかにした。加えて,リン酸化T209ペプチドがATL31と14-3-3との相互作用を競合的に阻害することも確認した。さらにリン酸化T209ペプチドを基に抗体を作製し,各C/N条件におけるT209のリン酸化状態を検証した。その結果,低C/高N条件に比べ高C/低N条件ではT209のリン酸化割合が高いことが示された。以上の結果から,ATL31はリン酸化依存的に14-3-3と結合し,そのリン酸化はC/Nに応じて変動することを明らかにした。 1b.14-3-3結合部位をリン酸化するキナーゼの同定と機能解析 マイクロアレイデータベースからC/Nに応じてATL31をリン酸化するキナーゼの候補としてCIPK7,CIPK12およびCIPK14を同定した。また,In vitro phosphorylation assayからCIPK14がT209をリン酸化することを明らかにした。以上の結果から,これら3つのキナーゼがC/Nに応じてATL31の14-3-3結合部位をリン酸化する可能性が強く示唆された。 2.C/Nに応じて14-3-3との結合性が変動する細胞膜タンパク質の同定と機能解析 FLAGタグを付加した14-3-3過剰発現体を異なるC/N条件で処理し,タンパク質を抽出後,抗FLAG抗体を用いた免疫沈降を行った。MS解析を用いて14-3-3と共沈降したタンパク質を同定し,非標識法で各C/N条件間での共沈降タンパク質の量を比較解析した。その結果,既知の14-3-3結合タンパク質に加え,多くのタンパク質がC/Nに応じて14-3-3との結合性が変動することを明らかにした。
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