研究課題
ニワトリ毛様体神経節におけるプレシナプスの発達過程は、ブートン状から杯状に成熟するシナプス前終末の選択過程と、それ以外の余分なシナプス前終末および軸索側枝の除去過程に大別できる。本研究では、プレシナプス特異的な最先端の光遺伝学プローブの導入と関連分子の過剰発現・機能阻害を通じて選択的強化・除去過程の分子機構の解明を目指すとともに、その病態生理学的な側面についても検討を行うことを目的とする。採用第1年度目である24年度は、シナプス前終末の機能的評価法の確立を達成した。赤色蛍光カルシウムセンサーR-GECO1を導入してシナプス前終末のカルシウムイメージングを行うことで、単発刺激に対するカルシウム応答を高い検出能で計測することができた。また、R-GECO1と共にキメラ型光感受性陽イオンチャネルChRFRを導入し、シナプス前終末を451nmレーザーで直接光刺激することで、任意のシナプス前終末で活動を引き起こし、それによって生じたカルシウム応答を計測することに成功した。オプトジェネティクスツールの同時導入による同時導入によるシナプス前終末の光刺激-カルシウムイメージングは世界初の試みである。これによって任意の発達期プレシナプスの機能評価を行うことが可能となり、シナプス前終末の活動と選択過程の関連を解明する道が開けた。上記に関連する成果は学術誌PLOSONEにて掲載された他、国際研究会にて1回、国内学会・研究会にて3回ポスター発表され、また国内研究会にて2回口頭発表された。これらの発表の中で、ポスター発表賞を2回、口頭発表賞を1回獲得した。
2: おおむね順調に進展している
軸索側枝の定量的な発達解析がネックとなったが、組織透明化技術を適用することで深部観察が可能となり、それによって神経節内部の軸索走行の全追跡が可能となり解決の目途が立った。また、分子メカニズムの解明に向けたいくつかの過剰発現・ノックダウンプラスミドも完成した。以上より当初の計画はおおむね順調に進展している。
蛍光タンパク質を発現させた毛様体神経節を透明化し、広域高精細の深部観察を行って軸索の枝分かれを発達に沿って定量的に評価することで、軸索刈込の基盤原理にアプローチする。またここにいくつかの標的分子の過剰発現・ノックダウンを組み合わせることで軸索刈込の分子メカニズムやその病理学的な側面についても明らかにする。
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すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (6件) 備考 (3件)
PLoS ONE
巻: 8 ページ: 1-11(e59179)
10.1371/journal.pone.0059179
http://researchmap.jp/ryo_egawa/
http://neuro.med.tohoku.ac.jp/japanese/noukinou.html
http://www.lifesci.tohoku.ac.jp/research_ja/15541/