研究課題
まず本年度は前年度までに使用していた装置よりも高感度かつ確度の高い測定が可能な新たな装置を用いて、ミオグロビンがミトコンドリア呼吸にもたらす影響を再検証することから開始した。さらに、これまでに用いていたミオグロビンの過剰発現モデルに加えて、発現抑制モデルのデータを追加することでミオグロビンの発現量の特異的な操作がミトコンドリアの表現型に与える影響を検証した。その結果として、ミトコンドリアの酸素消費速度はミオグロビン過剰発現モデルで亢進し、発現抑制モデルではその影響がキャンセルされた。また、その呼吸亢進をもたらしているメカニズムとして最終的に酸素の還元をミトコンドリアにて担う呼吸鎖複合体4の酵素活性がミオグロビン量依存的に調節されていることも明らかにした。また、ミオグロビンの遺伝子改変モデルにおいて、複合体4を含む呼吸鎖複合体の量は変化していなかった。したがって、ミオグロビンは複合体4の酵素としての機能を修飾する役割があることを示した。ミオグロビンはミトコンドリアの呼吸鎖複合体4の機能を特異的に修飾していることが明らかにされたものの、どのようなメカニズムを介して、ミトコンドリアに辿り着き、複合体4と相互作用するかは明らかとはなっていない。そのメカニズムの一端を解明するためにミオグロビンと相互作用するタンパク質を網羅的に探索することとした。前年度までに構築したミオグロビン安定発現株から、免疫沈降によってMb-FLAGを精製した。この精製サンプルに含まれるタンパク質を質量分析によって網羅的に検出した。その結果、ミトコンドリアのタンパク質が複数検出され、ミトコンドリアへ細胞質からタンパク質を輸送する役割を持つHsc70が検出された。したがって、ミオグロビンがHsc70によってミトコンドリアまで輸送され、その後複合体4と相互作用する可能性が示唆された。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2015 2014
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (4件)
Scientific Reports
巻: 5 ページ: 9403
doi: 10.1038/srep09403