研究課題/領域番号 |
12J06341
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
吉武 由彩 九州大学, 大学院・人間環境学研究院, 特別研究員DC1
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キーワード | 非対面のボランティア的行為 / 想像力 / 社会連帯 |
研究概要 |
本研究の目的は、「非対面のボランティア的行為の構造を把握し、それが社会連帯の形成にどのように寄与するのかを実証的に探る。その際に、提供者と受け手の『想像力』を媒介とした関係に着目する。」ことである。この目的を達成するために、当該年度は、(1)献血者への聞き取り調査、(2)被災写真洗浄ボランティアへの参与観察および聞き取り調査、(3)寄付の実態分析、(4)研究資料の収集、(5)研究成果の発表などを中心に研究活動を行った。 (1)非対面のボランティア的行為者への聞き取り調査として、福岡市の献血ルームにおいて、献血回数が多い、多回数献血者に対し聞き取り調査を行った。聞き取り調査は、2013年1月から2014年1月にかけて定期的に行っている。(2)2013年11月、12月、1月、3月に、東日本大震災の被災写真の洗浄ボランティアの活動をしている山口県周南市と長崎県大村市の活動について、参与観察および聞き取り調査を行った。(3)非対面のボランティア的行為としては、献血、写真洗浄ボランティアに加え、寄付もある。2009年と2013年に実施された「山口県民意識調査」の分析を行い、どのような人々によって寄付が担われているのかを分析した。(4)研究資料の収集については、2013年9月および10月に東京の日本赤十字社本社を訪問し、血液事業本部の方に、HLA型の登録システムについて、献血をめぐる法律について、献血ルームにおけるスタッフと献血者との交流についてなど様々な項目にわたって資料をいただき、ご教示いただいた。加えて東京訪問時には、日本赤十字社本社の「情報プラザ」において、資料収集を行った。情報プラザでは、日本赤十字社や血液事業に関する様々な資料を閲覧することができた。(5)論文投稿や学会での報告を行い、その中で数々のコメントをいただいた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は、昨年度よりも多くの論文の執筆、投稿をすることができたため、おおむね順調に進展している。また、調査も、非対面のボランティア的行為として献血の調査を引き続き行い、加えて、被災写真洗浄ボランティアや寄付についても、調査・検討を行うことができた。
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今後の研究の推進方策 |
来年度は博士後期課程の3年目であるので、博士論文の執筆を視野に入れ、研究を進める予定である。博士論文はこれまでの掲載済みの投稿論文と、来年度投稿予定の論文2本程度をもとに構成予定である。掲載済み論文については、それらを加筆修正して博士論文の一部とする。来年度投稿予定の論文としては、非対面のボランティア的行為について量的検討を行った論文や、献血者への聞き取り調査についてまとめた論文を考えている。
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