研究課題/領域番号 |
12J06346
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
陶山 大輔 北海道大学, 大学院・理学院, 特別研究員(DC2)
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キーワード | 超平面配置 / Shi配置 / Catalan配置 / ルート系 / 鏡映群 / ワイル群 / ベルヌーイ多項式 |
研究概要 |
与えられた既約ルート系Φとその正のルートの集合に対し、正のルートに直交する超平面を集めたものの集合をCoxeter配置と呼ぶ。また、Coxeter配置の各々の超平面に対し、それと平行な超平面を付け加えた超平面配置をShi配置と呼ぶ。本年度は、B型、C型のShi配置の錐化に付随する加群の基底を、任意の階数に対して構成することに成功した。既に得られていたA型のShi配置に対する基底では、Bernoulli多項式を拡張した多項式を新たに導入し、その基底を記述していた。B型、C型に対しても、Bernoulli多項式に類似したある多項式の構成が重要な役割を果たした。更に、D型においてもR. Gao, D. Pei, H. Teraoにより基底が構成されており、やはりBernoulli多項式に類似した多項式を用いるものとなっている。また、Coxeter配置の各々の超平面の両側に、平行な超平面を付け加えたものをCatalan配置と呼び、この規則によって超平面の枚数を増やしていった超平面配置を拡張されたCatalan配置と呼ぶ。更に、同様にしてShi配置の両側に平行な超平面を付け加えていった超平面配置を拡張されたShi配置と呼ぶ。本年度のもう一つの成果として、階数2のA型のルート系に関する拡張されたCatalan配置とShi配置の基底を、任意の枚数に対して構成したことが挙げられる。この構成は平行な超平面を順々に増やしていったときに、基底がどのように変化していくかを考察したものであり、ルートの高さという概念が影響を及ぼすことが確認された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
B型、C型のShi配置の基底を構成するという目的は達成したが、それらを統一的に取り扱う方法はまだ見つかっていない。またA型のCatalan配置については階数が2のものについては、拡張されたCatalan配置まで結果を得ることが出来たが、階数が3以上のものに関してはCatalan配置についても結果が得られていない。
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今後の研究の推進方策 |
上で述べたようにいくつかのルート系に関しては個別に基底を得ることが出来ているので、前年度で達成されなかった統一的扱いについて検証を進める予定である。特に、Bernoulli多項式に類似した多項式の統一的な扱い方についてを考察する。また、階数2のA型のルート系に関する研究から、ルートの高さが自由性を決定するのに重要な役割を果たすことが予想されたので、階数を上げた場合や他のルート系を取った場合にも同様の振る舞いをするのかを研究する予定である。
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