研究課題/領域番号 |
12J06375
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研究機関 | 一橋大学 |
研究代表者 |
森 悠子 一橋大学, 大学院・経済学研究科, 特別研究員(PD)
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キーワード | インド / 日本 / 選挙権拡大 / 積極的差別是正措置 / 再分配 / 多元的社会 |
研究概要 |
平成24年度は、第一に、インドの政治制度に関する三つの研究((1)インドの留保議席制度と投票行動、(2)一票の格差と投票率、(3)政党の多様化と再分配)について、論文執筆および学会報告を行った。また、(1)、(2)の研究については研究成果を関連する既存研究とともにまとめ、北村行伸(一橋大学)編集『応用ミクロ計量経済学2』の第11章として公刊される予定である。 第二に、インドの留保議席制度の研究に関して、新たにデータを構築し、留保議席制度がカースト間の対立意識に与える影響について、より厳密な研究を行っている。この研究は現在データ構築の段階であり、平成25年度はこの成果をもとに学会報告や論文執筆を行っていく予定である。この研究は、利害対立や差別がある状況でどのような民主的制度を構築するかを模索する際に重要な視座を与えるものと考える。 第三に、平成24年度は日本における戦前の男子普通選挙法の施行に着目し、貧困層への選挙権の拡大が再分配政策へ与えた影響についての研究に着手した。この研究は現在資料収集の段階であり、平成25年度中に完成させる予定である。貧困層への選挙権拡大が貧困の削減に寄与してきたかどうかは、今なお重要な政策課題である。不平等度や政党組織の発展などの条件に応じて、選挙権拡大の効果がどのように変わるのかという点に特に焦点を当てて研究を進めている。このような研究は現在の途上国でどのように民主的システムを構築していくべきかを考える上で意義のある知見を与えることができるだろう。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
データの入手やデータ整理は順調に進んでおり、平成25年度に研究を完成させるめどがたっている。ただし、インドで現地調査を行う準備はできなかったので、この点を平成25年度の課題としたい。
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今後の研究の推進方策 |
現在構築しているデータをもとに実証分析を進め、国内外含めて多くの学会で報告し、コメントを受けてよりよい研究になるように改訂作業を行う。 インドでの現地調査について、人脈づくりや具体的な研究計画を進めていきたい。
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