研究概要 |
平成25年度は、第一に平成24年度までのインドの政治制度に関する三つの研究(①インドの留保議席制度(議席割り当て制度)と投票率、②一票の格差と投票率、③政党の多様化と再分配)を改訂し海外の査読付き学術誌に投稿した。また、①、②の研究については研究成果を関連する既存研究とともにまとめ、北村行伸(一橋大学)編集『応用ミクロ計量経済学2』の第11章として公刊した。第二に、インドにおける留保議席制度の分析をさらに深めるために、①留保議席制度と投票行動の研究、②留保議席制度と再分配の研究、の二つの研究に新たに取り組んだ。①は、留保議席制度が政治におけるカースト間の対立を促進する効果の有無を検証する研究であり、積極的差別是正措置に関して懸念される事項がどれほど深刻であるかという点に焦点をあてている。平成25年度は、選挙管理委員会が公表しているデータをもとに、分析を行った。また、追加的な研究としてマイクロデータを用いた研究を行うために、Center for the Developing Studiesよりデータを購入し、そのデータ整理を行った。なお、この研究については、Indian Statistical Institute, Bangaloreにて発表し、有益なコメントをもらい現在改訂作業中である。②の研究は、被差別グループに対する積極的差別是正措置が、被差別グループの生活改善に寄与したかを知るための研究である。平成25年度は、選挙区および県単位における公共財の普及を調べるために、Census of Indiaのデータを購入し、分析を開始している。また、平成25年度は9月および2月にインドを訪問し、研究発表を行い、研究者間での交流を進め、研究に関する様々な有益な情報を得ることができた。
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