研究概要 |
ユークリッド空間内の滑らかな境界を持つ筒領域と錐領域のp-調和関数(P>1)に関するMartin境界について研究を行った. この研究は距離測度空間における非線形問題をユークリッド空間のp-調和関数として具体化し, より精密な結果を導こうことするものである. Martin境界を調べることはポテンシャル論において非常に重要であり, p=2の場合, すなわち通常の調和関数を考えた場合は広く研究が行われており, スケール不変なHarnack原理が成り立てば調和関数に対するMartin境界は位相境界と一致することが知られている. 一方, p≠2の場合は非線形性のためにそれほど研究は進んでおらず, スケール不変なHarnack原理が成り立ったとしてもp-調和関数に関するMartin境界の形状が定まるかは特別な場合しかわかっていない. Martin境界の決定にはp-調和核関数と呼ばれる関数が定数倍を除いて一意であるか調べることが重要となる. 本研究では筒領域または錐領域の領域形状とp-調和性を保つような作用素を上手く使うことによって, あるp-調和核関数が定数倍を除いて一意であることを示し, 既存の結果を応用することによって筒領域と錐領域のMartin境界を決定した. またユークリッド空間の次元が2である場合は, あるp-調和核関数を具体的な関数として表すことができた. この研究内容については"Potential Analysis"に投稿中であり, 第15回北東解析研究集会や東工大複素解析セミナーなどで発表を行った.
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