研究課題/領域番号 |
12J06456
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
大道 勇哉 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 特別研究員(DC2)
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キーワード | 流体不安定性 / 圧縮性流体 / 数値流体力学 / 極超音速 / 渦 / 全体安定性解析 |
研究概要 |
本研究の目的は、圧縮性流体に対する全体安定性解析法を確立しその有効性を示すこと及び、本手法を用いて極超音速流れ中の縦渦現象の性質を解明することである。 平成24年度は、主に圧縮性全体安定性解析コードの開発を実施した。 まず、これまで非圧縮性流体に対して適用されてきた千葉の方法(Time_stepping法)による全体安定性解析法を圧縮性粘性流体に適用した。2次元円柱背後に生じるカルマン渦を誘起する不安定モードの解析を実施し、流れ場が不安定へと遷移する臨界レイノルズ数や、そのときのストローハル数が過去の実験および数値的研究と一致することを確かめた。 次に、本手法を円柱前方に衝撃波を形成する超音速流れに適用し、本手法の衝撃波不連続を含む流れ場への適用可能性を調べた。その結果、本手法が既存の衝撃波捕獲スキームの有する衝撃波面における数値的な不安定を捉えることが明らかとなった。したがって今後衝撃波を含む流れ場の物理的な不安定性の理解を目的とした全体安定性解析を行うためには、衝撃波面における数値的な不安定性を取り除くことが重要と考えられる。 以上の研究から、衝撃波不連続を含まない流れ場に対する圧縮性全体安定性解析法は確立されたと考えられる. また、極超音速流中に縦渦を生じる流れ場の数値解析例として、マッハ7の圧縮ランプ流れにおけるゲルトラー渦の数値シミュレーションを行った。計算スキームには5次精度WCNSおよび保存形の4次精度中心差分法、3段階TVDルンゲクッタ法を用いた。その結果、本計算法によって実際にゲルトラー渦生成のシミュレーションが可能であることを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、主に圧縮性流体に対する全体安定性解析コードの開発を行った。開発したコードを用いて過去の実験・数値的な研究結果と比較し、同様の結果が得られることを確認できた。また、縦渦現象の全体安定性解析の前段階として、圧縮ランプ流れに生じる縦渦の3次元数値シミュレーションを行い、実際に縦渦が発生することを確認した。これらの結果から本年度は交付申請書に記載した通りの達成度を得られたと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の目的の1つは、極超音速流中の縦渦の性質を全体安定性解析を用いて明らかにすることである。しかしながら平成24年度の研究において、既存手法及び我々が開発した全体安定性解析法では衝撃波不連続を含む流れ場の物理的不安定性を解析することは困難であることがわかった。従って平成25年度は、圧縮性流中の渦現象を扱うものの衝撃波不連続を含まない流れ場について圧縮性全体安定性解析を行う。これにより、これまで研究が十分でない渦現象の安定性に対する圧縮性や粘性の影響を明らかにする。
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