研究課題/領域番号 |
12J06522
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
田口 周作 金沢大学, 自然科学研究科, 特別研究員(DC1)
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キーワード | 幼若ホルモン / アラタ体 / 側心体 / カイコガ / ショウジョウバエ / 遺伝子組み換え |
研究概要 |
幼若ホルモン生合成制御の分子メカニズムの解明とその体内濃度変化に伴う発生タイミングの決定機構の解明を目的として、以下の実験を行った。 まず、これまでに同定した幼若ホルモン合成期にアラタ体特異的、側心体特異的に発現する7遺伝子(D3、D4 etc)に対して、RACE法を用いてその全長配列を決定した。その結果、D4遺伝子が予測配列と大きく異なっていることが分かった。また、その他の遺伝子は予測通りの配列であった。 次に、D3遺伝子及びD4遺伝子に対して形質転換用コンストラクトを作製し、多核性胚盤葉期の卵(核分裂のみが進行し、細胞膜が形成されていない卵)にインジェクションを行った。その結果、UASの下流にD3遺伝子のセンス鎖もしくはアンチセンス鎖を配置したUAS-D3sense系統、UAS-D3antisense系統を確立することができた。アンチセンス鎖は、内在性のセンス鎖と二本鎖RNAを形成することによる翻訳阻害及びRNAiによるノックダウンが期待される。UAS-D4sense系統、UAS-D4antisense系統についても順次作製中である。今後はこれらの系統を、カイコガアラタ体でGal4を発現させるET14系統、全身でGal4を発現させる193-2系統と掛け合わせることで遺伝子の機能を解析していく。この2遺伝子は、幼若ホルモン合成期においてその合成組織であるアラタ体で特異的に発現しており、幼若ホルモン合成に関わっている可能性が考えられる。その為、この遺伝子組み換えカイコガを用いた機能解析は幼若ホルモン生合成制御の分子メカニズムの一端を明らかにすることが期待できる。 また、ショウジョウバエにおいても、同定した7遺伝子に対するホモログを用いて遺伝子発現・機能解析を行ったが、期待されたアラタ体での発現及び機能は確認できなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ショウジョウバエによるホモログの解析は不本意な結果であったが、中心に据えている遺伝子組み換えカイコガの作製状況は順調であり、カイコガでの機能解析の準備が整いつつある為。
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今後の研究の推進方策 |
作製できたUAS系統に対して各種Gal4系統を掛け合わせてその表現型を検証する。具体的には、1)実際に過剰発現及びノックダウンが起きているかどうかを定量PCR及びウエスタンブロットにより検証する。2)発生時間の遅延・延長もしくは短縮などの発生異常の有無を観察する。3)体内幼若ホルモン量の変化を定量する。以上の実験を行って、各遺伝子が幼若ホルモンに与える影響を検証していく。
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