研究課題/領域番号 |
12J06557
|
研究機関 | 首都大学東京 |
研究代表者 |
菅間 敦 首都大学東京, システムデザイン研究科, 特別研究員(DC2)
|
キーワード | 人間工学 / 操作力 / 操作特性 / 信号処理 / ウェーブレット変換 / 可視化 |
研究概要 |
これまでは操作力データから機器の操作性や操作の特徴などの操作特性を読み取ることは困難であり、操作力発揮の様子をイメージしにくかった。そこで本研究では、操作力データから人の操作に由来する力成分を抽出し、その情報を直感的にわかりやすく表現できる可視化手法を提案することを目的とする。操作特性の直感的理解を促すことで、操作パターンの分類や操作力の体系的整理が行われ、操作しやすい環境構築や製品設計に寄与する。平成24年度は以下のような研究成果を得た。 1)操作力データ実測と操作力変動因子の評価 作業現場や日常生活場面における操作を対象とし、代表的な操作力データを実測した。はじめに、工業機械の操縦を想定したレバー操作時の操作力を実測した。また平成24年度より以前に計測した、生産ラインの組み付け作業を想定した下方押し込み操作力データと、ATMや券売機などを想定したプッシュスイッチ操作力データについて解析した。各実験ではそれぞれ、対象物の高さや面角度、基準押し力などの作業環境因子を実験条件とした。また作業環境を模したモックアップを自作し、力覚センサを組み込んで操作力を計測した。 2)操作力データからの操作特性抽出 パルス信号の検出に優れたウェーブレット変換を用いた操作力データの特徴抽出手法を提案した。はじめに離散ウェーブレット変換によって元の信号を複数の周波数帯の近似波と変動波に分解した。次に変動波の変曲点位置を求め、変曲点位置と時間的に同期する近似波のサンプル点のみを抽出し、これを特徴点抽出波形とした。本手法はエッジ位置に時間的ずれがなくピーク点での減衰が小さいため、波形全体の形状を保ちつつ微細な変動のみ省略できるという特徴を持つ。本手法を用いることで操作力波形の形状を単純化でき、人の操作に由来する力成分の波形パターンを抽出することが可能となった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実施計画で想定していた、操作力データの実測と操作特性抽出手法については達成することができた。 また、平成25年度の成果として想定していた操作特性の可視化や、システム構築についての準備も平行して行うことができた。一方、平成24年度中と想定していた査読付論文の採択がなかった。以上のことから、本研究はおおむね順調に進展している。
|
今後の研究の推進方策 |
平成25年度は操作力データから抽出された操作特性をわかりやすく可視化する手法と、平成24年度に得られた波形解析手法を適用することのできるシステムの構築について検討する。操作特性の可視化については、新たにデータ演算機能をもった数値演算ソフトを購入し、適切な可視化手法について検討する。システム構築については、申請者らがこれまでに構築してきた操作力データベースのユーザインタフェースを拡張させ、波形処理機能として実装することで、最終的には大量の操作力データに対して簡便に本手法を適用できるようなシステムを構築する。
|